ブックタイトルConsultant266号

ページ
3/74

このページは Consultant266号 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant266号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant266号

巻頭言Consultants品確法改正と担い手の確保、育成大島一哉一般社団法人建設コンサルタンツ協会会長建設コンサルタンツ協会会員企業、役職員の皆様、そして読者の皆様、新年あけましておめでとうございます。昨年3月、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」(以下「品確法」という)の一部を改正する法律が国会で可決され、同年6月に施行されました。改正品確法では、第一条(目的)において公共工事の品質確保のために「担い手の中長期的な育成及び確保の促進」が新たに明記されました。そして第七条においては、担い手の確保、育成のための利潤が確保されるように予定価格を適正に定めることが発注者の責務であると規定しています。すなわち、発注者のもとで設計者、施工者など関係する担い手の健全な発展があってこそ公共工事の品質が確保されるのだということを宣言しています。さらに第二十四条が新設され、発注者は競争に参加しようとする者について、調査又は設計の業務の経験や技術者の経験又は有する資格その他技術的能力の審査を行ったり、調査又は設計に関する技術又は工夫についての提案を求めるなど当該業務の性格、地域の実情等に応じた入札及び契約の方法を選択することを規定しました。このように、「担い手の確保と育成」そして選定における「技術力の評価」が明記されたことは画期的なことと言えます。私たちは、この改正品確法の精神を充分に汲み取り、この精神が開化するよう具体的な制度設計に取り組んでいかねばなりません。さて、建設コンサルタントにおける担い手の確保、育成は人材の確保、育成ということになります。何といっても建設コンサルタントの資源は人材です。人材確保の課題としては、まず、この業界に入ってくる若い人、新卒の人が減っています。そして就職しても中途で離職する人が増えています。このような結果として、人材の高齢化が進展しています。人材の育成についても厳しい状況が続いています。公共事業費の縮小、受注競争の激化によって建設コンサルタント企業の経営環境の苦しい状況が続き、企業での研修や技術開発への投資は低迷しているのが実情です。以上のような人材の確保、育成の課題解決に向けて、私たちは積極的に取り組んでいかねばなりません。人材の確保では処遇や職務環境の改善、効率的な業務遂行、多様な働き方の導入などによる魅力ある職場づくりを進めていくことが求められます。まず、処遇改善では、厳しい経営状況の中でも給与を引き上げる努力を行うことが大切です。それが設計業務の積算での技術者単価に反映され、業務単価の上昇、企業経営の改善、ひいては給与の引き上げという好循環を生むキーポイントになると考えます。職務環境の改善では、長時間労働の解消が第一ですが、適正な工期の設定や3月納期集中の是正、そして年度を越えた繰越の柔軟な運用などを発注者へねばり強く提案していきます。さらに長時間労働の改善や業界のイメージアップのために「ノー残業デー」の実施の運動を行っていますが、これを定着させるとともに完全週休2日の実施など休日取得へと拡大していかねばなりません。また、女性や外国人がこれまで以上に活躍できる場と仕組みを考えることが必要です。次に人材育成すなわち技術力の確保、向上については、第一に企業における研修や技術開発投資が必要ですが、協会としてはこれまでの講演会や講習会の開催の他に、複数の企業技術者が連携する自主的な研究会活動への支援や、発注者や施工者などと連携した研修、研究を推進したいと思います。施工者との共同シンポジウムの開催などの連携は、これまで例が少なかったのですが、積極的に考えていきたいと思います。今回の品確法の改正を大きな転換点とし、建設コンサルタントとして、担い手の確保と育成に業界を挙げて強力に取り組んでいくスタートの年にしたいと思います。