ブックタイトルConsultant266号

ページ
31/74

このページは Consultant266号 の電子ブックに掲載されている31ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant266号

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant266号

の完成式典が執り行われた。発電所はその翌年に完成した。■名前にまつわるエトセトラ完成式典において、フーバー政権下の前内務省長官とルーズベルト政権下の内務省長官が、ダムの名称について牽制しあっていたという。フーバーダム建設に尽力したフーバーは共和党選出、ダム完成式典で演説したルーズベルトは民主党選出の大統領のため、ダムの名称についてお互い一歩も引けない状況だったのだろう。しばらくはボルダーダムという名称を使用していたが、完成から11年後の1947年、共和党第80回大会においてようやく正式名称がフーバーダムと認められることになった。ただし、ボルダーダムという名称が長く続いたため、いたるところにその名が残ってしまったようである。現在でも「ボルダーダム」と書かれているものを「フーバーダム」に修正する作業が度々あるという。写真10観光客で賑わうダム天端■変わらないダムと変化していく運用フーバーダムおよびミード湖は人気の観光スポットであり、年間約900万人の観光客が訪れている。ダム内部てんばや発電所の観光ツアーも人気で、ダム天端の道路にも人や車があふれている。そして、アメリカ同時多発テロ等の影響により、セキュリティも非常に厳しく管理されている。フーバーダムのすぐ下流には、2010年に完成した「Mike O'Callagham - Pat Tillman Memorial Bridge」が架かっている。正式名称が長すぎるため、現地の人はコロラドリバー橋と呼んでいる。この橋の建設には日本企業も関わっている。フーバーダムは、現在も内務省開拓局で管理されている。そのコロラド川下流事務所において、日常のオペレーションは8人で行なわれている。コロラド川下流域の情報は全てこの事務所に集まり、データベース化して1時間に1回更新され、各方面への指示や情報発信を行っている。特に配水管理は非常に厳しく気を遣っているといい、下流の水の使用量から水の蒸発量まで計算に入れて配水量を決定しているという。2000年頃からミード湖の貯水率が下がってきており、2014年には貯水率が約50%となった。これを元の貯水量にするため、今後28年かけて戻す計画が進められている。自然環境、水や電気の需要など刻一刻と変化する状況において、建設当時と全く変わらずに維持管理図1コロラド川下流域の配水状況をするのは非常に困難である。フーバーダムは建設当時からその存在感は変わらずに佇み続けているが、運用は時勢の変化に柔軟に対応して、技術者の叡智と最新技術を用いて着実に遂行されている。<参考資料>1)『フーバーダム(Hoover Dam)』星清、開発土木研究所月報第490号、1994年3月2)『RECLAMATION Managing Water in the West HOOVER DAM』U.S.Department of the Interior Bureau of Reclamation Lower Colorado Region,January 20063)『THE STORY of THE HOOVER DAM』Nevada Publications4)『RECLAMATION Managing Water in the West』Lower Colorado Region(http://www.usbr.gov/lc/hooverdam/)5)『ダム便覧』一般財団法人日本ダム協会(http://damnet.or.jp/Dambinran/binran/TopIndex.html)<取材協力・資料提供>1)U.S. Department of the Interior Bureau of Reclamation2)Ben小田(通訳)<図・写真提供>図1、写真5、6、7参考資料2P26上初芝成應写真1川崎謙次写真3佐々木勝写真4茂木道夫写真8大角直写真9近藤安統写真10塚本敏行Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015029