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Project 3 briefプロジェクト紹介今なお続くコンクリートのアルカリ骨材反応の内部進行性と対策冨田穣TOMITA Minoru近畿技術コンサルタンツ株式会社技術本部技師長■はじめに我が国の社会基盤となるコンクリート構造物の長寿命化は、大きな課題である。中でもアルカリ骨材反応によるその被害は深刻で、早ければ建設後数年で顕在化する。このほど、建設後40年経過した奈良地方の跨道橋の橋台(写真1)で異常なひび割れが発見された。しかも5年前の定期点検時より進行し、一部補修した表面にも新しいひび割れが発生していた。対策に当たっては、なぜ長年の経過後に出現するのか、今後はどうなるのかを解明し推測する必要がある。今回の調査や試験結果から、反応が内部進行性であると認められたので紹介する。■アルカリ骨材反応と作用アルカリ骨材反応は、コンクリート中のアルカリ金属イオン(アルカリ性細孔溶液)と反応性骨材とが化学反応して吸水膨張し、骨材全周に反応リングや白色の滲出ゲルが現れ、コンクリート表面がひび割れる現象である。鉄筋コンクリートでは鉄筋量が少なければ亀甲状に、多ければ主鉄筋に沿って、ときに段差を伴うひび割れとなる。内部の骨材膨張圧で周囲を拘束する鉄筋に引張り、反作用でコンクリートに圧縮が起こる。コンクリートに3軸方向の圧縮、言い換えればケミカルプレストレスの導入として作用するため、構造体全体としてはひび割れにもかかわらず耐荷力低下はさほどではない。ひび割れが主鉄筋の直角方向でなく主鉄筋沿いに入るのは、内部の膨張圧で帯鉄筋が全周外方向に伸び、その結果、外側にある放射状のコンクリートかぶり部がはじける。また、帯鉄筋の切断現象も、曲線部の内側にクラックが入っていることから、材質や曲線加工のほかに、膨張圧で曲線部内側に股裂きのような局部曲げ引張り力が作用している写真1 橋台A(正面に堅壁、側面に翼壁)と、上部の水平ひび割れ表1採取コアの観察、試験項目観察、試験項目試験方法数量目的コア番号1)表面観察φ100×20016本内部ひび割れ長1?16? 250 mm程度反応リングゲル岩種の構成2)偏光顕微鏡観察研磨薄片観察3骨材岩種の同定13)粉末X線回折不定方向と定方向X線回折装置6骨材鉱物の同定1, 3, 54)圧縮強度試験採取コアJISA1107、11085)静弾性係数試験採取コアJISA11496)中性化試験採取コアJISA1152割裂法7)塩化物含有量試験採取コアJISA1154 5分割8)残存膨張量試験採取コア建設省総プロ法8体強度確認1, 3, 5, 7,9, 11, 13, 158体ASR関連分析同上8体中性化進行度同上8体ASR原因分析塩化物浸透度8体ASR原因分析将来予測同上2, 4, 6, 8,10, 12, 14, 16橋台A:1?6、橋台B:7?12、橋台C:13?15046Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015