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Z O O M U P C A M E R A E Y E Sズーム・アップ・カメラ・アイズナイアガラの滝のヒミツ(カナダ&アメリカ、ナイアガラ・フォールズ)会誌編集専門委員会ヴィクトリアの滝(ジンバブエとザンビア国境)、イグアスの滝(アルゼンチンとブラジル国境)、ナイアガラの滝(カナダとアメリカ国境)が世界三大瀑布と言われている。なかでも世界最大の水量を誇るのがナイアガラの滝だ。ナイアガラとは先住民の言葉で「水の雷」らしい。しかし実際は「土砂降りの雨」の音に近い。ナイアガラの滝は氷河期も終わりの1万2千年前、氷河がナワンダ湖(現エリー湖)から移動して、ナイアガラ断崖下のイロワク湖(現オンタリオ湖)に崩落した所に誕生した。そして、そのすさまじい浸食力により、現位置まで約10km後退した。ナイアガラの滝は、アメリカ側のアメリカ滝(落差58m、幅330m)とブライダルベール滝(落差15m)、そしてカナダ側のカナダ滝(落差56m、幅675m、滝壺の深さ55m)から成る。カナダ滝はその平面形状から馬蹄(horseshoe)滝とも呼ばれる。両国の滝はアメリカ領ゴート島で分けられ、アメリカ側の滝は小さなルナ島で分割されている。19世紀後半に、両国はそれぞれ最初の州立公園に指定した。ヨーロッパ人でこの滝を初めて見た人には諸説あるが、1678年に訪れたベルギー人の宣教師ルイ・エネパンが有力である。その当時から現在まで約400m、年間約1.2mの浸食により滝の位置が後退している。ただし、現在の浸食スピードは10年間で約30cmと緩和されている。それは、1950年に上流に水門(可動堰)が建設され、流量を調節することができるようになったからだ。アメリカとカナダ間で締結された『ナイアガラ水路変更に関する条約』によって滝の最低流量(約1億7千万l/min)が保障され、残りの水を二国間で等分して水力発電に利用するようになった。このため、滝の浸食の速度が著しく低下したのである。この最低流量は、滝の間近まで迫る観光船「霧の乙女号」が航行できる深さの確保だそうだ。実はこの条約前から水力発電は行われていた。つまり、発電量を増やすために川からなるべく多く取水して、余った水を滝に回した結果、浸食スピードが著しく落ちたと言えなくもない。まさに一石二鳥である。滝の上流の方のナイアガラ川は穏やかだ。上流のエリー湖からナイアガラ間約30kmの落差は約2m。可動堰から滝までの落差は25m。ゴート島先のアメリカ滝の落水地点はカナダ滝の落水地点よりも3m高い。そのため、ナイアガラ川はカナダ側の方に流れて来て、カナダ側で余った水がアメリカ側に流れている状態だ。この可動堰から下流は流速が速いので冬でも凍結し写真1すさまじい水量のカナダ滝写真2虹とレインボー橋、アメリカ滝と「霧の乙女」号050Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015