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写真6バンコク都庁の中庭にて(猫もリラックス)異国を感じさせる慣習日本においては、個人差はあるが会議開始時刻の5分前にはその場に集まっておくというのは、常識と言ってもいいだろう。それに比べるとタイは時間に寛容だ。会議の相手が時間にうるさい日本人ということに気を使ってか、時間通りに集合する人もいるが、時間前に全員が着席し、時間通りに会議が始まることは稀な気がする。当初は、このペースに馴染むことが出来ずに戸惑っていたが、「郷に入っては郷に従え」の精神でその場の流れに身を任せて過ごしていると、徐々にそのペースが心地よくなってくるので面白い。日本人でもタイでの駐在期間が長くなると現地のペースに馴染んでしまい、日本に帰国すると苦労するというエピソードには、妙に納得した。進む女性の社会進出タイの行政組織における女性の躍進は、私にとって非常に新鮮だった。タイの企業における女性管理職の割合の多さは、世界的に見ても顕著であるという記事を目にしたことがあるが、我々のカウンターパートであるバンコク都の環境局もその例外ではない。組織のトップでリーダーシップを発揮する局長や副局長は女性だし、その部下の職員にも女性が多い。我々のプロジェクトオフィスは、バンコク都庁舎のオフィスの一角を間借りして設置されているのだが、オフィスを見回すと職員はほぼ女性だ。決して大げさな表現ではない。そんな職場環境だからか、夕方近くになると学校帰りと思われる小学生くらいの子どもが、プロジェクトオフィスの椅子にちょこんと座ってお母さんが仕事を終えるのを待っていたり、ようやく首が据わったくらいの赤ちゃんを抱いたお母さんがオフィスを歩いていたりと、和やかな雰囲気に包まれている。二ヶ月に一度のペースで訪れていると、その度に知った顔の子どもたちが成長していて微笑ましい。政治状況と人々の反応日本でも報道されていたように、2013年末頃からタイではデモが頻発し、死傷者が出てしまうほどの不安定な政治・社会状況が続いていた。この影響を受けて、我々のプロジェクトも約半年の間、渡航を控えることを余儀なくされていた。訪問が再開されたのは、デモ等の混乱が落ち着き、様々な情報から安全が判断された時期であった。しかし運悪くそのタイミングで軍が厳戒令を発令し、クーデターに発展したのである。厳戒令から2日後の夕方頃、プロジェクトオフィスで仕事をしている最中に、クーデター宣言のニュースが入ってきた。クーデターというと日本人にとっては非日常的な言葉であり、「これは大変なことになってしまった」と思った。インターネットのニュースやメールのチェックなどで仕事どころではなく、ホテルに戻って待機となった。夜間の外出が禁止され、食堂は20時で閉まってしまったため、ホテル近くのスーパーマーケットで惣菜を買って部屋で食事をとることにした。これとは対照的に、現地の人々の反応はいたって冷静であった。8年ぶり19回目といわれるクーデターに慣れているのか、それとも治安が悪化するほどの事態にはならないことを承知しているのか、見ていた限り皆いつもどおりであったように思う。ニュースでは、兵士と笑顔で写真写真7タイのフルーツ(マンゴーとマンゴスチン)写真8タイ料理(タイ風ラーメン)写真9タイ料理(見た目によらず辛いので注意)054Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015