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写真3ユーロスター(欧州都市間特急)写真4ワルトシュレスヘン橋(エルベ川から)林や牧草地などの地域共有財産を管理しており、さらにホテルやレストランを所有・運営している。現地を視察した際にツェルマットの街を見渡すと、高層ホテル等はなく、天候が良ければ街中からマッターホルンを見渡せることができ、世界中から観光客が来ることが納得できる素晴しいリゾート地であった。日本では有名な観光地となると、観光客の大量に収容できるホテルがよく見られるが、ツェルマットのような計画的な観光戦略は、日本の観光地でも参考にできるものと感じた。■日本とヨーロッパの鉄道の違いヨーロッパは日本とは異なり、各国が陸続きのため、スイス・イタリア・ハンガリー・フランスなどヨーロッパ各国の主要都市間を結ぶ国際都市間特急列車Eurocity(EC)や都市間超特急InterCityExpress(ICE)があり、今回の視察の移動でも利用した。最高速度300km/hで、各国の主要都市の高速移動を実現、かつヨーロッパの交通の利便性を高めており利用客も多かった。日本の鉄道との違いとして、軌間が日本の在来線より広いことや、ホームの高さが日本よりも低いことに気がついた。ホームの高さが低いことで、列車に乗るときに段差があった。日本ではバリアフリーが勧められており、段差をなくすことを目指しているため、乗車の時には日本のほうが便利であると感じた。また、ヨーロッパの方が日本よりも構造物が比較的スリムであるように見えた。普段、私は鉄道構造物の設計に携わっているため気になった点であるが、イタリアなどの地震が多い地域において、日本と設計の考え方がどのように異なるのだろうかと興味を抱いた。■インフラ整備と歴史的景観について今回視察を行った中で、トルコのイスタンブールやドイツのドレスデンは歴史的景観が優れており、観光客も多い都市であった。しかし、近隣住民にとっては道路渋滞の発生などで、インフラ整備が不十分な箇所があることを確認した。ドイツのドレスデンについては、エルベ川をさかのぼっていくとエルベ砂岩山地があるが、ドレスデンに溶け込んだ渓谷などの自然、産業革命以降の産業遺産、建造物などの価値が評価され、2004年には世界遺産に登録された場所である。しかし、エルベ峡谷にかかるワルトシュレスヘン橋が建設されたことにより、景観に支障を来たすという理由で世界遺産リストから削除されている。実際にエルベ川からワルトシュレスヘン橋を視察したところ、景観が損なわれているようには見えなかったが、社会資本整備と歴史的景観の融合は難しいことなのだろうかと感じた。日本でも同様なケースはあると考えられるため、大きな課題であると感じた。■おわりに今回の調査では、11日間でヨーロッパの様々な地域を視察することができ、日本とは異なる文化や考え方に触れることができた。また、今回の視察期間中には、サッカーのワールドカップが開催されていたため、特に最後に訪れたドイツでは非常に盛り上がっており、地元の方々の熱気が感じられ雰囲気を共有するという楽しい経験もできた。今回の視察を通じて、得た知識や経験を日本での業務でも活かせるように努力していきたいと思う。最後になりますが、中村団長、建設コンサルタント協会の皆様、みなと総合研究財団の皆様には、大変お世話になりました。この場をお借りして御礼を申し上げます。Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015063