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平成26年度WAVE・JCCA欧州インフラ事情調査に参加して欧州インフラ事情視察~肌で感じたヨーロッパの歴史と息吹~国際航業株式会社東日本事業本部第二技術部/砂防グループ藤原伸也Fujiwara Shinya■はじめに平成25年度建設コンサルタント業務・研究発表会において、私は幸運にも優秀賞を賜り、その副賞としてこのたびの欧州インフラ事情調査に参加させていただいた。私は普段はおもに火山防災関連の業務に携わっており、正直なところ都市計画やインフラ整備関係については見識が浅く、ましてやヨーロッパの視察となると、どうなってしまうか少々不安を感じていた。しかし、それは全くの杞憂であり、このたびの視察は逆にその見識の浅さが、より大きなインパクトを私にもたらしてくれたと思っている。旅程10泊12日という長旅であったが、ここではその中でも私が強く印象に残った都市について振り返り、紹介させていただきたいと思う。■ナポリ? 2,000年前の遺跡から発掘された高度な文明?火山関係者がナポリと聞くと、すぐに連想するのがヴェスヴィオ山である。ナポリ空港に降りたときはあいにくの曇り空であったが、ヴェスヴィオ山はその綺麗な裾野を私たちに見せてくれた。ヴェスヴィオ山は、西暦79年の大噴火が有名であり、その噴火の様子を小プリニウスという人物が手紙の形で記している。そしてこの書物は、火山現象を記述した世界最古の書物として知られている。さて、ナポリで訪れたのは、その79年噴火の際に噴出した火砕流によって埋もれてしまったポンペイという都市から後に掘削調査で発見された品々を展示している国立考古学博物館である。この博物館内では、当時の人々による絵画や彫刻な写真1復元されたポンペイのミニチュアどの芸術作品が極めて目を引くが、中には今でも使えそうなピンセットなどの医療器具、水道管などが発掘されており、2,000年前には既に医療・インフラ整備が高度に進んでいたことに驚かされた。また、館内にはポンペイ遺跡全体のミニチュア模型が展示されており、その整然とした町並みは現在のヨーロッパにも通じるところがある。さらには、闘技場や競技場といった娯楽施設も用意されていたことも非常に興味深かった。残念ながら、今回はポンペイ遺跡自体を訪問することはできなかったが、機会があればぜひこの遺跡を訪れて2,000年前の息吹を肌で感じ取ってみたい。■ツェルマット?環境と景観に配慮した経営?イタリアの各都市を訪れた後、鉄道を乗り継いでスイスのツェルマットを訪れた。名峰マッターホルンで有名なツェルマットは、住人約6,000人に対し、1日平均5,500人の観光客が訪れるスイスの一大観光地である。駅を降り屋外に出た瞬間、吸い込む空気が今までの都市と明らかに違って澄んでいることに気づく。この村では、世界に環境問題という単語が生まれる前の1960年代からガソリン車の乗り入れを規制しているという、中村写真2ツェルマットに見られる電気自動車066Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015