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す。あるところでは、自転車通行帯に思い切り特化している道路があっても面白いと思います。今、東京都が木造密集地帯に街路を整備しようとしています。これは、木造密集地帯が類焼や延焼から逃れるための街路なので、自動車交通需要から生まれて来た街路ではありません。思い切って自転車道や歩道に出来ます。そういうメリハリのある道路空間のあり方を、模索して行くべきだと思います。2020年の東京オリンピックまでに、銀座の中央通りを2車線にしてしまうことも一案です。曲がりくねった2車線として、空いた空間には高木を植える。緑豊かな中に芸術性の高いベンチを置き、外国人や高齢者の方々が買い物や散歩のついでに休むことができる。こういうことを実践することで、日本人の道路空間の捉え方が非常に多様になって来ていることを示して欲しい。これが空間分割の考え方です。一方、時間分割というのは「24時間同じ使い方をしなければならないのか」と言うことです。パリのシャンゼリゼ通りは、観光時間帯には物流車が全く走っていません。しかし、シャンゼリゼ通りは大商店街なので、物流の搬入と廃棄物の排出がなければ成り立ちません。それを観光客が来ない時間帯に行っているわけです。そういうメリハリのある時間分割の使い方が必要だと思います。前川:そういう意味では、トランジットモール(北米都市において自家用車の通行を制限し、バス・路面電車・LRT・タクシーなどの公共交通機関と歩行者の通行のみを許可した道路・市街地域)ができるとすごいと思います。大石:さらに、地方でもこういう多様な道路空間の使い方で、活性化が試みられることを期待したいですね。建設コンサルタント業界の役割前川:最後に、国土強靭化や地方創生など、いろいろな面で建設コンサルタントの果たす役割には、大きなものがあると思います。大石:社会資本整備では最も上流部分を分担している建設コンサルタントの皆さん方の中には、今まで公共事あざま業が悪し様に言われて来た中で、自信を失っている方もいるのではないかと思います。しかし、アメリカのオバマ大統領は、「アメリカの再生にはインフラの再構築が必要だ」と言い、イギリスのキャメロン首相は「インフラが二流になれば、イギリスも二流になる。そうしないために頑張らなければならない」と言っています。さらにドイツのメルケル首相は連立政権を組む際の合意文書に、「インフラこそがドイツの競争力を確保する。従って写真2シャンゼリゼ通りきちんと計画を立て、財源制度もしっかりしたものを作る」と言った内容を盛り込んでいます。インフラの構築に参画している方々が、公共事業バッシングで自信を喪失している状態こそが、危険な状態だと思います。次の世代に贈り物をする、未来産業に従事していることに誇りを持って欲しい。誇りがなければ、自分をもっと磨こうとか、新しいことに挑戦しようとかに繋がりません。そのためにも、建設コンサルタント業界はんで仕事をして、禄を食んでいることに、是非、誇りを持って下さい。また、日本の特殊な国土条件やインフラ整備の世界的な動向について、各社も協会も国民の皆さんに知って頂く努力をもっとして欲しいのです。国土やインフラを一番良く知っているのは建設コンサルタントの皆さん方です。先ほどは「誇り」と言いましたが、今度は「責務」を果たして欲しいと思います。<図・写真提供>図1国土交通省関東地方整備局ホームページ(http://www.ktr.mlit.go.jp/honkyoku/road/3kanjo/international/foreign.htm)大石氏・前川氏顔写真、写真3初芝成應写真1島根県隠岐郡海士町写真2大石久和写真3対談風景(2014.10.14国土技術研究センターに於いて)Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015005