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写真2アマルフィ海岸写真3ライプツィヒの夜の賑わいで海岸沿いの町を巡り、アマルフィ海岸を視察した(写真2)。「ナポリを見てから死ね」と言われるほどの風光明媚な都市であり、その絶景の数々は、言葉に表せない素晴らしさであった。アマルフィは、海岸沿いの複雑な地形を活かした海洋国家として繁栄した都市であり、その起源は古代ローマ時代に遡る。狭く入り組んだ海岸沿いの道路をナポリから約2時間半をかけて移動し、その間にメータやポジターノといった他の海岸沿いの街も観ることができた。あとで調べると、この海岸沿いの道は、19世紀にナポレオンの命を受けて建設された道路であり、歴史の奥深さを実感した。現在では、国内外から多くの観光客が訪れる世界有数のリゾート地となっており、著名人の別荘も多いとのこと。アクセス性は決して良くないが、ローマ時代からの歴史と文化を守りながら、人々の暮らしがそのまま観光資源となっている好事例として、そのエッセンスをこれからのまちづくりの取組に活かしていきたいと感じた。写真4ツェルマットを走る電気自動車■人中心の都市空間づくり今回の欧州視察を通じて最も強く印象に残ったことは、「人中心の都市空間」をうまく街の中に創り出していることである。4カ国8都市を駆け足で巡ったが、どの都市においても街の中心部では自動車をシャットアウトし、昼夜を問わず歩行者が安心して買物や街巡りを楽しんだり、オープンカフェで快適な時間を過ごしたり、広場で友人やカップルが談笑したりする姿が見られた(写真3)。特に、ドイツのフュッセンでは、厳格な都市計画制度のもと、旧市街地が見事に保全・活用されてい写真5エアフルトの美しい風景るだけでなく、人口1.5万人の小都市とは思えない賑わいがあり、早朝からカフェやパン屋で憩い、語らう多くの人々の姿が見られた。また、スイスのツェルマットでは、マッターホルンふもとの美しい自然や空気、観光客等の歩行者の安全を守るため、ガソリン車の乗入れを規制し、ホテルの送迎バスやタクシー、パトカー、工事現場のトラックに至るすべての自動車が小型電気自動車となっている(写真4)。驚くべきは、これらの取組は最近始まったものではなく、都市政策として長年にわたり継続していることである。我が国でも「人中心」のインフラ整備の重要性が指摘されているが、まだまだ途上であり、その理想形と言える都市空間をたくさん見ることができたのは、自分自身にとって大きな財産である。■おわりに本稿では、欧州視察の中で印象に残った主なトピックスをご紹介した。これらの内容はごく一部であり、紙面では語り尽くせないほどたくさんの経験と感動を得ることができた。都市計画に携わるプランナーの一人として、今回の経験を活かし、技術研鑚に励みたい。最後に、調査団長として素晴らしい機会を与えてくださった中村英夫先生をはじめ、WAVE及びJCCAの皆様に厚く御礼を申し上げます。Civil Engineering Consultant VOL.266 January 2015069