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高山登志彦TAKAYAMA Toshihikoプロフィール1968年山口県生まれ。株式会社髙山煉瓦建築デザイン代表。18歳の時に煉瓦職人として弟子入り。祖父、父と職人家系の三代目を継承する。父・彦八郎が建築家・鬼頭梓の煉瓦建築を手掛けており、1 8歳の時に鬼頭氏の煉瓦に対する話を直接聞いて感銘を受けた事が煉瓦職人を極めようと思った理由。30代の頃イギリスに何度も滞在し、本場の職人の技術とセンスを学ぶ。主に親方・職長として携わった建築は、信濃町煉瓦館、風の丘斎場、洲本図書館、晴海トリトンスクエア、函館市立図書館、京都立命館大学朱雀校舎等。最近では勝浦市芸術文化交流センターKuste(キュステ)や上州富岡駅がある。座右の銘は「職人は自ら提案し、デザインし、最高のパフォーマンスを残さなければならない」。現在、我々煉瓦職人の多くは煉瓦を積めるしタイルも貼れる。国内での煉瓦建築が圧倒的に少ないため、両方の技術を備えていないと死活問題になるからだ。現在、R C構造の普及によって煉瓦構造はほぼ絶滅しており、RC構造の表面に化粧材として煉瓦を積む工法が一般的になっていて、この先も大きな変化は無いものと思われる。しかしながら、2 0 1 4年に施工管理で携わった上州富岡駅舎の煉瓦積みは、本来の煉瓦が持っている特色を十分に活かし、化粧だけで無く構造体の一部として煉瓦が機能した。こうした例のように、構造や機能の一環として煉瓦という素材が使われ始めると、明治・大正期のように、再び国内に新たな風を巻き起こす事になるかもしれない。そうなれば、今や絶滅危惧種とまで囁かれている我々煉瓦職人の未来にも大きな希望が持てる。煉瓦は誰もが手で握る事が出来る大きさで、そのサイズは地球上に煉瓦が発祥して以来数千年間ほとんど変わっていない。人類はまさに積み木と同じように煉瓦という直方体のシンプルな土の塊を手に掴み、積み上げては家を造り、橋を造り、城を造り、文化を造り上げてきた。我々煉瓦職人は、そうした先人に学び、そしてもう一度積み木遊びで夢中になった童心に戻り、煉瓦という素材の魅力を十分に活用し、技術を継承し、そして語っていかなければならない義務があると思っている。勝浦市芸術文化交流センターKuste(キュステ)(写真:フォワードストローク)Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015011