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特集1れんがの煉瓦話水野信太郎MIZUNO Shintaro北翔大学/生涯スポーツ学部スポーツ教育学科/教授我が国の近代化の象徴とも言える煉瓦はどのように始まり、普及していったのだろうか。そして関東大震災がもたらした転機…。煉瓦の歴史とともに、煉瓦の良さと煉瓦構造の特徴である積み方についても解説していただく。「れんが」という言葉最初にお断わりしておきたい事がある。れんがという言葉だ。レンガ広場などと片仮名で書かれると、外来語なのかと勘違いされそうだが、れんがは日本語。試しに海外旅行先でディス・イズ・ア・レンガ!それともゼイ・アー・レンガズなどと御丁寧に複数形にしてみても全く通じない。世界中であの四角い焼き物を、れんがと呼ぶ国民は日本人だけ。だが煉瓦の漢字があるくらいだから「れんが」という発音は通用せずとも、筆談ならば理解されるかと思いきや、これも期待できない。かつて仏教伝来の6世紀や南蛮文化が渡来した16世紀には、土を四角く固めて焼いた建材が到来した。それらは「せん」と呼ばれた。中国語でれんがは磚(ツェン)である。ツェンが「せん」と聴き取られ、?の字になった。いかにも土を焼き上げた煉瓦らしくていい。赤煉瓦と白煉瓦近世期、日本へ立ち寄りたい異人船が近海に出没し、外交を求めて来た。これらの外国船を追い払うため大砲を準備する。この急務に対応するため当時の日本人はんしゃろは、外国語の文献を頼りに独力で反射炉なるものを完成。平成27年7月6日世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の施設群にも反射炉が含まれにらやまる。静岡県の韮山反射炉、山口県の萩反射炉、鹿児島県の旧集成館にも薩摩藩の反射炉跡がある。反射炉は本格的な溶鉱炉とは違う。鉄鉱石など鉄を含有する岩石から、鉄を抽出するのに必要な近代設備が溶鉱炉である。この大型の炉は、非常に背が高いのこうろで高炉と呼ばれる。しかし反射炉は高炉ほど大規模でこうかいはない。まず外国で製鉄された鋼塊(インゴット)を輸入する。そのままでは利用できないので、反射炉で鉄をいがた高温に熱して液体とする。それを炉から鋳型へ注ぎ込ちゅうぞうんで大砲に成形した。大砲を鋳造する材料には青銅な写真1神戸のハンター邸2階暖炉に使用されている白煉瓦写真2函館郊外で製造された開拓使直営工場の刻印入り赤煉瓦012Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015