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図2万世橋高架橋全体平面図ックのものを配置した(写真9、10)。万世橋高架橋の施工万世橋高架橋は、かつてターミナル駅であった旧万世橋駅として高架下を利用する目的で建設されたことから、その構造は複雑である。中央線(上り)と保守基地用引込線を支持する神田川に面した北側のレンガアーチ高架橋(延長146.3m、15径間、径間長約9.5m、幅約8m)と、中央線(下り)を支持する南側のレンガアーチ高架橋(2,2,5径間、径間長約6.1~7.5m、幅約5m)および南北の高架下を結ぶ通路部分により構成される。南北の高架橋に挟まれた範囲は盛土であり、アーチ褄壁により背面盛土の土圧を支持する構造となっている(図2)。万世橋高架橋については歴史的な遺構であることと、商業施設として活用することから、景観に配慮して既設レンガ面を努めて残す設計とした。特に神田川に面する北側の高架橋は、RC内巻補強の妻部を奥に約600mmセットバックしてレンガ端部の美観を存置した(写真2)。また、商業施設への入口新設のため、神田方側壁部に高さ約4m、幅約4mの開口を行ったが、レンガ組成に影響が出ないようコア削孔で丁寧に撤去した(写真11)。耐震補強後再開発された「マーチエキュート神田万世橋」は、古いレンガの鉄道高架橋の再活性化を行い、新しい商業施設を誕生させた等の功績から第12回ブルネル賞優秀賞を受賞したが、開発前の耐震補強工事時点から設計・施工の配慮があったことを忘れてはならない(写真12)。写真9鍛冶橋寄高架橋耐震補強前写真11レンガアーチ側壁部開口部写真10鍛冶橋寄高架橋耐震補強後写真12レンガアーチ高架下の有効活用存続すべき重要構造物首都直下地震対策で様々な構造物の耐震補強対策工事を行う中、レンガアーチ高架橋は、歴史的価値に合わせ景観的にも存続すべき重要構造物である。このため、大地震の際にも堅固に耐えうるべく耐震補強工事を鋭意推進している。工事に際しては、高架下利用者との協議・交渉が重要課題であるが、鉄道や高架下店舗、さらには店舗を訪れたり側道を通行される方々の安全性が向上することを理解いただき、一日も早く耐震補強工事が完了できるよう取り組んでいきたい。<参考資料>1)JR東日本:東京レンガ高架橋維持管理に関する技術検討会報告書、2002.12)守田久盛、高島通:続鉄道路線変せん史探訪、吉井書店3)斉藤哲夫:東京レンガアーチ高架橋耐震補強工事の設計と施工、日本鉄道施設協会誌2003.44)友竹、小林、矢島等:万世橋レンガアーチ高架橋耐震補強の設計・施工、JR東日本技報SED No.42 2013.115)Catalogue 12th Brunel Awards Amsterdam 2014Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015021