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写真5(左)現在でも住宅として使用されている中国湖北省武漢市の外国人居留地跡写真6(右)中国湖北省武漢市の鉄工場の旧社宅。近隣のビジネス街区の開発と共に整備予定だが、この煉瓦造の住宅は残す方針のある塀やアプローチの床、アイストップ的な役割を持つシンボリックな建造物等であり、実際そうした場所・部位に効果的に煉瓦を用いている計画は数多くあるだろう。よく・心地よいと感じやすい配色は色彩の調和論により証明することが可能である。眼は単一色には満足せず、それと対立(対比)する色を求める、というゲーテ2)の論説もこのことを裏付けている。音は様々な音階を組み合わせることでリズムが生まれ、ハーモニーを奏でることで「音楽」となる。色も同じように単色で善し悪しが決まるのではなく、周辺環境を含めた他の色と組み合わされることではじめて「色彩」となり、様々な効果やニュアンスが生み出されて行く。このような「色彩学上の調和の観点」を風景に当てはめてみると、大地の赤、自然の緑(黄+青)、空の青、という風景は3原色(ないしは4原色)が揃った色彩的な調和が感じられる状態である、と言い換えることもできる。ここで、もしも煉瓦が赤(系)色でなかったらと考えてみて欲しい。例えば東京駅なども、絵に描かれるような特徴ある風景にはなり得なかったのではないだろうか。調和を感じる風景-全体の色彩調和という視点ここでもう少し煉瓦の「色彩的な役割」を解いてみたい。色彩学という学問においては、色の基本は3原色(赤・青・黄、または赤・青・緑・黄の4原色)であるとされている。ちなみに古代日本では色は赤、青、白、黒しか存在せず、山や樹木の緑等も「青し」と表現されていた。ゴッホの多彩と評される作品も実は赤・黄・青・緑の4原色だけで構成されている。色彩学という学問においては各色の好き嫌い等をさておき「調和をなす」という定理があり、誰もがバランスどこにでもある煉瓦、日本ならではの煉瓦近年、計画のための調査に中国やインドネシアを訪問する機会が増えている。「煉瓦は世界中どこにでもある」と聞いていた通り、郊外へ行けばいくほどその辺に転がっているような素材であり、それが現代でも人々の生活と共にある場合には、ある種の羨ましさを覚えることも多い。2015年春に訪問したスリランカでもあちこちで煉瓦が見られた。1982年に世界文化遺産に登録されたシーギリヤ・ロックでは約1,600年前に建設された王族の為写真7スリランカ・シーギリヤの沐浴場写真8スリランカ・シーギリヤの遺産の修復028Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015