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写真5丸池地区橋梁(人道橋)写真6駅前道路橋梁(車道橋)図4駅前道路橋梁側面図られたリサイクル煉瓦の最小の圧縮強度28N/mm 2に対し極めて小さい値を示しており、シミュレーション解析からも煉瓦アーチ構造が極めて高い耐荷性を有していることを裏付ける結果が得られた。煉瓦積み構造物の再来載荷試験及びシミュレーション解析を通して、リサイクル煉瓦を使用したアーチ構造の極めて高い耐荷性能を検証することができた。載荷試験を行った煉瓦アーチは2008年、丸池湧水に橋長7.86m、幅員5.0m、径間長5.0mの人道橋として完成した(写真5)。また、載荷試験やシミュレーション解析の結果を踏まえ2011年JR栗野駅前に橋長10.0m、幅員11.0m、径間長5.0mの煉瓦アーチ車道橋が完成した(写真6)。これらの煉瓦アーチ橋に使用したリサイクル煉瓦には、今後の循環型社会の形成やまちづくりを担う1,000名超の学童の他、町内会有志が夢や希望を書き込んでいる。今回、100年超の時間を経て、風水害や地震に耐え、今なお供用され続けている近代化産業遺産の煉瓦アーチ構造物をまちづくりの中核として位置付け、町の中心部に地域住民の夢が詰まった、古くて新しいリサイクル煉瓦造りのアーチ式車道橋の建設が実現した。忘れ去られた技術が今日の技術で甦り、100年後の未来へ引き継ぐ「近代化遺産」の建設となった。小さな町での取り組みが、今後の同種の構造物建設に繋がることを期待したい。<参考文献>1)阿久根芳徳、稲田博、吉原不二枝、中島一誠、吉原進「鹿児島県下に残る煉瓦アーチ暗渠を通してみる技術論」土木史研究vol24 2004年2)中原和見、福吉康祐、駒走健一、阿久根芳徳、吉原不二枝、吉原進「歴史的土木遺産を核にした新しい街づくりの試み」土木史研究vol26 2006年3)駒走健一、阿久根芳徳、浜崎洋、吉原進「リサイクル煉瓦によるアーチ橋の計画から完工まで」土木学会第66回年次学術講演会V-604 2011年4)駒走健一、阿久根芳徳、木村至伸、山口明伸、吉原進「鹿児島県湧水町に新設した煉瓦アーチ橋の構造特性」土木学会第66回年次学術講演会V-605 2011年5)「煉瓦アーチ橋技術検討会」平成21年の各委員;吉原進(鹿児島大学名誉教授)、彦坂煕(九州大学名誉教授)、山口明伸(鹿児島大学准教授)、木村至伸(鹿児島大学助教)、植村芳彦(元(株)長大)、井上省平(鹿児島県)、米満重満(湧水町)、玉越隆史(アドバイザー国土交通省)Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015033