ブックタイトルConsultant269

ページ
43/64

このページは Consultant269 の電子ブックに掲載されている43ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant269

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant269

図2粘り強い海岸堤防の概念図(土堤)3)程度で、セメントと水を簡易な施設で混合したものである(写真2)。CSGは、強度が定義され、強度決定手法と品質管理手法を有しており、設計上要求されるCSGの必要強度を確保することが可能なものである。このため、台形CSGダムに代表される重要永久構造物に用いられている2)。CSGとは、このように参考文献2)、3)に示す方法に従い、強度が確実に担保されているものをいう。■夏井地区へのCSG堤防導入夏井地区においては、以下の点からCSGを用いることを検討した。・現場周辺には処理すべき震災コンクリートがれきが多量にあり、これを破砕して利用することで、写真3近傍のコンクリートがれきコスト縮減が期待できる。・CSGは汎用のブルドーザで撒出し、振動ローラで転圧することから、高速施工が期待される。事実夏井海岸地区では920mの堤防を約7ヵ月で完成させている。・CSGは、土堤のように法面被覆ブロックの剥がれや波浪による浸食、吸出しの懸念がなく、大規模津波に対して大きな抵抗力を有している。■CSG堤の位置夏井地区の堤防法線は、隣接する既存堤防との接続や用地的な制約を考慮して決定した(図1)。■CSG堤の形状砂質地盤上に高さ約8mの剛体構造物を構築するため、CSG堤の形状は、台形形状を基本とした。これは台形とすることで、1常時・地震時の反力変動が小さいこと、2堤体内に曲げ引張応力が発生せず、堤体必要強度を低く抑えることが可能となること、を考慮したものである。堤体形状はCSGを用いたダムの実績をもとに上下流面勾配は合計で1:1.5程度とした(図3)。なお、CSGはコンクリートと比べ耐久性で劣ることから、常時波浪や混合直後のCSG硬化したC S G(供試体)写真2コンクリートがれきを用いたCSG外気にさらされる法表面(海側)と天端は厚さ50cm程度のコンクリートで保護する構造とした。また粘り強さを発揮するため、CSG堤は、「岩手・宮城・福島3県の建設海岸堤防設計の考え方」における盛土による粘り強い海岸堤防の考え方も参考に図2に示す堤防と同等の機能を有するように図3に示す構造とした。また海岸利用者の退避や安全性を考慮し、CSG堤の表法(海側)は1:1.5の勾配とし、小段をつけた階段状のものとした(図3)。さらに裏法は1:2.6の盛土とした。この盛土は、利用者の安全性確保の他、CSG堤と同時に築堤することで工事用道路としても利用できるとともに、完成後は植生工を施し、景観にも寄与するものである。■CSG堤の設計手順CSG堤の設計は、基礎と堤体の安定性および液状化による沈下量検討を行い、CSG堤の強度を設定するという手順で実施した。図4にそのフローを示す。:CSG堤の構造留意点表法保護コンクリート波からの保護のためコンクリートを階段状に設置人が往来可能な構造で小段設置(安全性)CSG盛土環境保全・アクセス性を確保掘削土を利用盛土の裏法勾配1:2.6盛砂の安定条件より設定地震時(k=0.20)にすべりが発生しない勾配3リフト=90cm基礎工CSG堤は築堤材の吸出しを受けないが、波による洗掘防止のため、法尻から1m以上の根入れを行い、表面をブロック等で保護基盤造成CSG0.5mフーチングの設置法尻が洗掘されても転倒しないが施工上の理由で設置図3 CSG堤の基本構造3)Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015041