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猿橋第67回日本唯一の木造桔橋「猿橋」山梨県大月市基礎地盤コンサルタンツ株式会社/技術本部/物理探査部-佐々木勝/SASAKI Masaru(会誌編集専門委員)■橋脚のない橋大月市は山梨県の東部に位置し、大部分が山林に覆われている。市の南部には東西方向に桂川や支流の笹子川が流れ、それらに沿ってJR中央本線、中央自動車道、国道20号の幹線交通網が重なるように通り、河川沿いに広がる河岸段丘に市街地が形成されている。桂川は神奈川県に入ると相模川と名を変えて相模湾へと注ぐ。JR大月駅から東京方面へひと駅目の猿橋駅を降り、国道20号を東へ1kmほど進み商店街の切れ目を左手に入ると「名勝猿橋」の文字が目に入る。土産物屋を横手に見ながら先に進むと「大きい」「派手」といった形容詞とは無縁な木造橋が現れる。この桂川に架かる木造橋が「猿橋」である。緩やかな弧を描く板張りの橋面を進むと次第に違和感を感じてくる。橋の中央付近から谷底を覗くとその違和感の正体に気付く。橋の長さは短いのだが、橋を渡している渓谷が思った以上に深いのだ。橋長30.9mの橋に対して水面からの高さは約31mである。さらに驚くことに、この橋には橋はねばしはねばしはねぎ脚がない。桔橋(刎橋とも書く)という構造の橋で、桔木と呼ばれる部材を両岸に埋め込み、少しずつ伸ばしながら重ねていき、その上に桁を通している。猿橋では桔木を2列4段に重ねている。桔木と桔木の間には枕梁と呼ばれる部材が桔木と直交方向に入っている。この枕梁と桔木には腐食防止のための屋根がある写真1 桂川の深い渓谷044Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015