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1943年東京都生まれ。東日本国際大学学長。早稲田大学名誉教授。工学博士。エジプト考古学者。1 9 6 6年にアジア初の早大エジプト調査隊を組織し現地に赴いて以来、約半世紀にわたり発掘調査を継続、数々の発見により国際的評価を得る。2 0 0 5年未盗掘・完全ミイラ「セヌウ」の木棺を発見。「第2の太陽の船」を発掘・復原するプロジェクトが全世界から注目されている。主な著書に『マンガでわかるイスラムv s .ユダヤ中東3000年の歴史』『人間の目利き』『運命を味方にする生き方』『教授のお仕事』『エジプトに夢を掘る』『世界一面白い古代エジプトの謎』吉村作治他多数。公式H P:エジプトピア(YOSHIMURA Sakuji)の集合体です。しかしエジプトは全体を一つの国家として農業でまとまっている国なので、隣同士の争い事がありませんでした。そして、非常に優秀な役人や官僚が王様を支えていたのです。■ローマがつないだもの司会─エジプト文明の後がギリシャで、それがヘレニズムに広がり、ローマに引き継がれていきます。ギリシャの都市国家は意外と小さいですが、ローマの時代になると都市がかなり大きくなります。文明によって都市の成り立ちは違うのでしょうか。樺山─人間の集落の大きさは、自然の条件や人口扶養力によっても違ってくるので、一概に大きい方が良い、小さい方が駄目という話ではありません。確かにローマ時代になってから、随分とローマをはじめとして規模の大きい都市ができあがりました。司会─私たちは、ローマを引き継いだのはルネサンスだと思ってしまいます。樺山─大きな動きでいえば、古代のさまざまな文明の中に、エジプト文明も、メソポタミア文明もありました。そうしたものが紀元1世紀くらいまでにローマ帝国によって一旦は政治的に統合されます。それが滅びた後に発生したのは通常言われるようなヨーロッパ文明だけではありません。ヨーロッパ世界が古代ローマ帝国の遺産を引き継ぐ前には、少なくともイスラム世界やビザンチン世界が大きな役割を果たしていました。ビザンチンは5世紀に西ローマ帝国が崩壊した後、約1,000年間持ちこたえたわけなので、そこには高度な写真3岩のドーム(エルサレム)文明達成力がありました。ヨーロッパ人たちは、ビザンチンのおかげでイスラムの強力な波が来ないで済んだと言いますが、こんな勝手な言い方はありません。ビザンチン世界は、古代ローマ帝国もしくはヘレニズム世界を独特な形で引き継ぎました。その結果、帝国が生き延びただけでなく、それに伴う土木、社会基盤的諸施設、思想、文学、表現も含めて極めて高い達成を成し遂げることができました。最後はオスマン帝国に征服されますが、そこまでに長い間、古代の遺産を引き継いでいました。司会─私たちは、ローマは古代ギリシャを目標にしていたと思っていました。樺山─もちろん、ローマ人にとって、古代ギリシャは大変偉大な先覚者であって、かなりのものをそこから引き継いだことは間違いありません。ローマは古代ギリシャにあったポリスの連合体だけではなく、いわゆるヘレニズムという地中海世界全体にわたるような文明の実を受け継ぐことになりました。だからこそ、その後のビザンチンやイスラムを含めた後世の文明に大きなものを譲り渡すことができるようになったと思います。■イスラムの都市のなりたち司会─預言者ムハンマドが生まれたのが570年で、西にはビザンツ帝国があり、東にはペルシャがあった時代です。イスラム建築はもともとあったユダヤ教会やキリスト教会からの影響も受けながら発展したのでしょうか。深見─そう見て良いと思います。「神は唯一である」といCivil Engineering Consultant VOL.269 October 2015003