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まされるところが怖い。空港とジャカルタ中心部は高速道路で結ばれており、車で僅か30分程度の距離なのだが、いつも今日は盆か正月か?というほど渋滞がひどい。空港でしっかりトイレを済ませておかないと、目的地までの2~4時間、車内でモジモジしなければならない。渋滞のひどさはインドと大差ないが、安全や騒音に関してはこちらの方が随分ましである。車間距離に余裕があるし、なによりクラクションを鳴らす車が少ない。日本人もなかなか手が出ない高級車も多く走っており、タクシーまでベンツなのには衝撃を受けた。これが貧富の差というものか。都市部の高層ビルは、様々なイルミネーションに彩られており、街に個性が与えられている。日本の無機質な高層ビル群が写し出す夜景とは趣が全く異なるが、これもまた美しい。結局、ホテルへの到着はいつも日本時間の0時過ぎになる。家族や会社に安着連絡を入れるためインターネット接続を試みるも、回線品質が悪く繋がらない場合が多い。何をやるにも予定通りに進まないのが海外生活である。現地で喜ばれるお土産職場に向かい、日本から持参したお土産を配る。最も喜ばれるお土産は「柿の種」である。普段は菓子類に手を付けない現地スタッフも、柿の種だけは休憩の度に1粒ずつ時間をかけて楽しんでいた。受験生に人気の「キットカット」も、日本限定品など様々なバリエーションがあって珍しいと喜ばれる。ちなみに、現地滞在の長い日本人向けのお土産は酒類に限る。イスラム教徒の多いインドネシアではアルコールが厳しく制限されており、現地の日本料理店では日本の酒が定価の10倍以上で提供されていた。下町のナポレオンがなんと1万3千円である。私は酒が弱いので不自由しないが、晩酌が欠かせない人には暮らしにくい国だと思う。気候と服装赤道に近いジャカルタは日本より暑いイメージを持っていた。確かに暑い国ではあるが、年間を通じて気温は30℃程度であり、東京のように異常な猛暑に苦しむことはない。職場では日本でも浸透してきたクールビススタイルが主流であり、重要会議のためにと持ち込んだ上着やネクタイは荷物になるだけであった。現地スタッフには民族衣装のバティックを着用して職場に来る者もいる。カジュアルデーである金曜日には、我々日本人技術者もバティックを着て現地色に染まる。バティックは大統領が着る1着数万円の高級品から千円以下のセール品まで質もデザインも豊富にあり、見る人が見れば、出身地や暮らしぶり、人柄まで分かるそうだ。大切なコミュニケーションツールの一つであり、これを着こなしてこそ一流の現地技術者と言えるのかもしれない。また、土砂降りの雨もジャカルタの名物である。私は幸か不幸か雨季にジャカルタを訪れる機会はなかったが、その時期に現地入りしていた同僚からは「道が冠水して身動きがとれない」「先方も出勤できず打合せがキャンセルになった」など、日本では下手な言い訳にしか聞こえない珍事も度々起こった。言葉の壁公用語がインドネシア語であるため、教養レベルが高いはずの公務員に対しても英語が通じにくい場面が多かった。海外業務を希望する日本人には、流暢な英語でテキパキ仕事をこなす姿に憧れを抱く人も多いと思うが、流暢なインドネシア語でプレゼンを行う技術者も想像以上に魅力的であり、現地の人々の心を鷲掴みにしていた。英語が世界の共通語であることは間違いないが、英語だけでも通用しないことを実感した。私は未だ習得するに至っていないが、インドネシア語はマレー語圏(シンガポール、マレーシア、ブルネイ)でも通じるお得な言語なので、これらの国に活躍の場を広げたい方は是非習得していただきたいと思う。写真3バティックに着替えて現地調査写真4絶品のサテ・アヤム日本人にも馴染みやすい食べ物ジャカルタの食べ物は安くて美Civil Engineering Consultant VOL.269 October 2015049