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写真8ミマール・シナン設計のモローワ水路橋(トルコ、イスタンブール近郊)ます。オスマン朝の有名な宮廷土木建築家ミマール・シナンは建物ばかり設計していたわけではなく、ダムや水道橋などの多くの土木構造物も設計しています。公共事業は国や自治体が担うと思われていますが、それは民主主義社会になってからのことです。王様といえば搾取するイメージもありますが、そうではなく、人々が幸せに暮らしていくための公共財などを用意しなければなりません。例えば、水の管理は市民一人一人ができるわけではありません。カナートやダムなどを構築し、マネジメントする人が、たまたま王様だったと考えられます。公共財を用意するのは、ある種政治権力を持つことで、非常に重要なことだったと思います。吉村─古代エジプトでは、収穫の1/2は王様のものとなります。そして、1/4ずつ地主と農民がもらいます。王様は取り分の半分をピラミッド、道路、灌漑用水、神殿などの公共事業で返します。国民の大半を占める農民は働いた半分は戻って来るということです。働いた人だけに還元されるシステムです。だから3,000年間続いたのです。樺山─公共事業という言葉が、なぜか今はイメージが非常に悪く、無駄遣いだと考えられがちですが、本来は公共性を有する事業なので、当然、事業によってもたらされる結果と事業に要する労力の両方で社会性を保てたわけです。したがって、公共事業が本来の公共性を発揮できるかどうかを考えなくてはなりません。司会─建設コンサルタンツ協会では、先人たちが造り、今も使われ続けているものを「土木遺産」と呼び、もう一度着目しています。今の私たちの仕事も50年、100年経った時に「あれは良いものだ」と言われたいですね。吉村─無形遺産には踊りとかがあるけれど、やはり遺産は土木ですね。<写真提供>P3?6顔写真、写真9初芝成應写真1、2、3、5、6山田耕治写真4深見奈緒子写真7、8塚本敏行写真9 東京国際フォーラムにてCivil Engineering Consultant VOL.269 October 2015007