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れているところは、実はまだ多方面にあるのだ。学校のトイレや災害時のトイレ等にも課題は見つけられるが、復興事業や東京オリンピック・パラリンピックによる当面の一時的な需要に対応する必要に迫られている建設現場もそのひとつだ。現在の建設現場では離職者の増加や、若手入職者の減少といった構造的な問題が発生している。建設産業における女性の活躍及び担い手の確保のためには、建設現場の環境改善が必要であり、中でもトイレ環境は誰もが使用する空間で、環境改善は必要不可欠である。しかし実際には、用を足せれば良いという状況にあり、職場環境として他業種と比べても劣悪な状況である。建設現場の仮設トイレは、イベントや災害時に活用されることが多く、建設現場の仮設トイレの質がイベント時や災害時のトイレの質を左右する実態がある。東日本大震災の時には、せっかく設置された仮設トイレが和式のものばかりで、足腰が弱っているお年寄りが結局使用することができなかったという話も聞く。国土交通省は、今後5年間で建設現場のトイレの質の向上を図ったトイレの標準化を行い、東京オリンピック・パラリンピック開催となる2020年度には実運用を目指している。次世代のトイレは公衆電話、公衆浴場といった公衆とつくものは完全に無くなりはしないものの、その機能は個人で所有する形に姿を変えていった。公衆トイレももしかしたらパーソナル、ポータブル、ウエアラブルetc.といった切り口で姿を変えていくかもしれない。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、今まで便利で清潔に使えていた水洗トイレが一瞬で使えなくなる事態を広範囲に引き起こした。固定概念を揺るがす体験を我々はしている。今使えるものがいつも使えるとは限らない。次世代のトイレは、設備技術だけでなく空間、法律的課題や生活習慣までをも超えていく必要性も考えられる。例えば、災害時のインフラの寸断やもともとインフラ整備が乏しい山岳地域、特殊な労働環境にある場合などにはすでに様々な非水洗のトイレも利用されているのだ。トイレの進化は止まらない。<参考資料>1)日本トイレ研究所アニュアルレポート'10?'142)日本トイレ博物誌INAX3)建築設計資料39公衆トイレ建築資料研究社4)羽田空港旅客ターミナルビルユニバーサルデザインガイド5)国土交通省現場の環境整備(http://www.mlit.go.jp/tec/kankyouseibi.html)図2建設現場の環境改善の取り組み(国土交通省大臣官房資料)Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016011