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特集トイレ?日本のトイレが世界をもてなす?4災害時のトイレ木村玲欧KIMURA Reo兵庫県立大学/環境人間学部大学院環境人間学研究科/准教授ひとたび災害が起これば、私たちの暮らしは一変する。安全な場所の確保、水と食糧、その次に問題となるのがトイレである。災害時のトイレの現状を知ること、平常時から災害時のトイレ対策を考えておくこと。いざという時のために、「わがこと意識」で備えておきたい。「災害時にトイレが原因で亡くなる人がいるのよ!」黒田裕子さんが、生前に言われていたことである。黒田さんは「仮設住宅のマザーテレサ」とも呼ばれ、阪神・淡路大震災をきっかけに「災害看護」の分野を切り拓いた第一人者であった。惜しくも2014年9月、73歳でこの世を去ったが、看護師として災害現場の対応経験から導き出された数々の教えは、今でも多くの人の記憶にしっかり残っている。「災害時にトイレが原因で体調を崩し、場合によると死亡のリスクも高まる」ことについて、黒田さんはHさんの例を挙げていた。避難所で暮らしていたHさん(85歳女性)は、杖歩行の上に虚弱であり、ちょっと歩けば「しんどい」と言葉にするが、自分の足でトイレに行きたいとの欲求が強かった。Hさんは、毎朝、行列が出来る仮設トイレの前で、辛そうな表情で順番を待っていた。そんなあるとき、一日の食事は一食だけにし、水も飲まなくなった。その理由を聞くと「トイレの回数を減らすためにしている」と答えた。「朝が一番辛い。あの行列には気が狂いそうだ」と。阪神・淡路大震災(1995)新潟県中越地震(2004)東日本大震災(2011)関連死14.3%(921人)直接死85.7%(5512人)関連死74.6%(50人)直接死25.4%(17人)関連死14.3%(3089人)直接死85.7%(18506人)N=6433N=67N=21595(2004年5月14日神戸新聞による再集計)(2006年9月22日新潟県調べ)(震災から3年の2014年5月時点)東?本?震災については以下の資料を参考にした。また直接死の数は死者と??不明者をあわせたもので、直接死・関連死とも今後?数が変化する可能性が?い。直接死:2 0 1 4 / 5 / 9警察庁「平成2 3年(2 0 11年)東北地?太平洋沖地震の被害状況と警察措置」による(死者1 5 8 8 6?と??不明者2620?をあわせたもの)、関連死:2014/5/27復興庁「東?本?震災における震災関連死の死者数」による。図1直接死と災害関連死の割合020Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016