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Consultant271
対策については「何となく大変そうだけど何とかなる」と備えを考えていない家庭・地域や、計画上の文言だけで具体的な対策・訓練が行われていない自治体も多い。写真1津波の泥に埋まったトイレ(釜石市)り手すりがなかったりするため使いにくい、和式便器タイプが多い)(写真2)、4適切な清掃が行われていないなど管理が不十分(清掃ができておらず汚いので使う気がしない、臭気が強い)(写真3)、5し尿処理がスムーズになされない(多くのトイレが汲み取りタイプだが、バキューム車が来ない)などがあげられる。避難所での生活が長くなるほど、安心して使用できるトイレを確保することが重要であり、こうした災害での事例を踏まえてトイレ対策の充実を図ることが求められている。しかしながら、災害時のライフラインの途絶による生活への影響についてはよく知られており、電気・ガス・上水道など、多くの家庭・地域・自治体で具体的な対策が考えられているのに対し、トイレの問題については「不浄」とされているのか、災害現場での実態や対策について周知される機会が少ない。その結果、トイレ写真2 和式便器タイプの災害用トイレ(車いすが入らない、手すりもない)写真3トイレットペーパーが詰まっているトイレ災害時には「5種類のトイレ」をまず想定する災害時のトイレ対策としては、まずは、1既設トイレの活用である。水が出て(上水道)、水が流れる(下水道)場合には、トイレは使用可能である。ただし水が流れる場合でも、下水道が破損していてしばらくすると汚物が逆流することもあるので、被害の様子がはっきりするまでは携帯トイレの方が無難である。また、水が出ない(上水道が使えない)場合でも、くみ置きの水、井戸水、河川の水など用水を確保できる場合には、排泄後バケツ等で流すことも有効な手段である。個人宅や避難所での発災直後から仮設トイレ設置までの間においては、2携帯トイレ、3簡易トイレが有効である。携帯トイレは、便袋をトイレとして使用し、吸水シートや凝固剤で水分を安定化させるもので、断水した洋式便器等に設置して使用できる。消臭剤がセットになっているものや、臭気や水分の漏れを更に防ぐための外袋がセットになっているものもあり、在宅被災者等が自宅などでも使用できる。価格も複数回セットで数百~数千円程度である。課題としては、使用済み便袋のストック場所、臭気対策、衛生対策、最終処理方法の確認(「燃えるごみ」として廃棄できるかどうか、回収日がいつになるか)などである。簡易トイレは、室内に設置可能な小型な便器で持ち運ぶことができ、便座と一定の処理がセットになっており、し尿を貯留できる。介護用のポータブルトイレも含まれ、数千~数万円程度である。また、簡易トイレを段ボール・新聞紙・テープなどで作成する「段ボールトイレ」は、災害・防災の意識啓発教材にもなるため、ワークショップや訓練等で作成を体験することができる。詳しくはインターネットで「段ボールトイレ」「日本トイレ研究所」と検索してもらうと、詳しい作り方などを知ることができる。簡易トイレの課題としては、使用場所や最終処理方法についての検討が必要であることや、汚物の処理タイプとして凝固剤を用いた「ラッピング」のほか「コンポスト」「乾燥・焼却」などがあり、電気の確保など、製品ごとに利022Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016