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特集トイレ?日本のトイレが世界をもてなす?5開発途上国へのトイレ支援崎坂香屋子SAKISAKA Kayako中央大学全学連携教育機構特任准教授/保健学博士日本で暮らしていると、およそ想像がつかない途上国の排泄事情。トイレ以前に屋外排泄の問題を何とかしなければいけないのだ。助かる命を少しでも増やすために、途上国の人々の意識を変える活動が地道に行われている。その取り組みを紹介する。達成できなかった衛生分野のミレニアム開発目標2000年9月に世界189カ国がニューヨークに集結し、2015年までの世界共通の開発目標を8ゴール60指標という具体的数値目標に纏めて掲げたものがミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)である。1990年を基点とし、この目標達成期間を1990~2015年の25年間と定めた。驚かれるかもしれないが、世界共通の開発目標も具体的な数値設定も、実はこれが初めてのものであった。2015年がその最終年であったため、ミレニアム開発目標の8つのゴールと60に及ぶ目標数値の達成結果が発表された。目標数値達成に向けた世界全体での過去15年の努力は目覚ましいものがあり、貧困緩和(Goal 1)でも、初等教育の普及(Goal 2)や乳幼児死亡の低減(Goal 4)でも、目標値をクリアした地域と国はかなりの数に及んだ。しかし「目標達成」と書かれているゴールでもよく読むと、達成できなかった課題もある。環境改善問題が中心となっているGoal 7の安全な水が入手できる人口の増加は目標値を達成した。しかし、飲用水と抱き合わせのように扱われている衛生(sanitation)、すなわちトイレの普及については全世界で目標値を達成することはできなかった。アフリカの半数以上の国やロシア地域などでは改善がみられていない(図1)。2015年においても全世界で約24億人が衛生的でないところで排泄を続けている1)。農村での屋外排泄は減らなかったMDG7の中のトイレに代表される衛生施設(sanitationfacilities)の改善目標については、1990年時点でのトイレを使用していない人の割合を半減させることを目標数2015 1990改善され衛生的なトイレ(Improved)9%共同利用トイレ(Shared)5%10%衛生的でないトイレ(Unimproved)17%54%68%目標達成国改善良好な国改善の見られた国改善なし、改善困難な国データなしの国13%野外排泄(Open Defecation)24%01020304050607080図1 衛生分野のミレニアム開発目標達成状況:目標値達成国は全体の50%である95カ国のみ(95/189カ国=50%)図2衛生施設75%達成困難グラフ024Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016