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Consultant271
特集トイレ?日本のトイレが世界をもてなす?6成長戦略としてのトイレ加藤篤KATO Atsushi特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事今やトイレは日本の成長戦略の一つであり、世界に誇れる文化の一つとなっている。すべての人が使いやすいトイレ環境を整えていくため、日本のトイレは更なる進化を遂げ、次のステージへ向かおうとしている。トイレ改善運動の起点今からさかのぼること約30年前、公衆トイレは5K(くさい、汚い、暗い、怖い、壊れている)と言われており、マイナスイメージの象徴だった。公衆トイレはだれが設置し、清潔に保つのかをご存じだろうか?『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』の第五条には、次のように記されている。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(清潔の保持)第五条土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。2,3,4,5(略)6市町村は、必要と認める場所に、公衆便所及び公衆用ごみ容器を設け、これを衛生的に維持管理しなければならない。7便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。市町村は必要な場所に公衆トイレを設置して、衛生的に維持管理しなければならないのだ。民間においても、土地や建物は清潔に保つ必要があることからトイレの必要性が発生し、それを清潔に保つことが求められる。本稿では、行政が設置するトイレ単独の建築物を公衆トイレとし、商業施設や公共交通機関のトイレなど、不特定多数の人が利用可能なトイレも含めた場合を公共トイレと呼ぶことにする。1984年、この公衆トイレを改善しようと立ち上がったグループがある。その名は「トイレットピアの会」だ。この会は、以前に私が所属していた地域交流センターというまちづくりのシンクタンクで生まれた。トイレットピアの会には、建築家やデザイナーはもちろんのこと、メーカーや清掃に携わる人、医師、研究者、そして自治体職員など様々な人が集まったと聞いている。具体的な取り組みとしては、11月10日を「いいトイレの日」としてシンポジウムを開催したり、いいトイレを表彰する活動を展開した。先人たちの活動により、日本のトイレは飛躍的に改善が進んだ。これまでの取り組みを大きく分類し、主な改善ポイントを表1に示す。ちなみに、私がこの活動にかかわったのは1997年からであり、第3次活動をより活性化させるための母体として、2009年に「特定非営利活動法人日本トイレ研究所」を設立した。空間・設備的に一定の改善は進んだものの、まだまだ課題もある。トイレはすべての人がかかわるテーマであり、生活や社会のあり方と深く関係している。そこが魅表1トイレ改善のポイント時期内容第1次活動公衆トイレが抱える問題に光をあて、タブーから(1984 ?1994)の脱却を図る【脱却】第2次活動公衆トイレだけでなく、学校や災害時、自然地域(1995?2005)へとトイレ改善活動のフィールドを広げる【展開】第3次活動トイレ問題を社会的課題として位置づけ、行政(2006?2016)と企業と市民が連携するプロジェクトとして取り組む【共創】028Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016