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写真6丹那断層公園に保存された断層の横ずれの様子(断層に直交する水路の石積みが横ずれ)写真7ホッパー車(前後)と道床更換機(中央)写真8丹那トンネル道床更換機群作業風景写真9 軌陸車を使用したトンネル内の打音検査状況写真10 熱海口付近に設けられた軌陸車載線設備大動脈であり、夜間作業の間合いは2時間程度に限られるため、一晩の施工延長は非常に短いものとなってしまう。しかも上り線と下り線の間合いは同時刻ではないため、片線に列車が通過する中での作業となる。このため、噴泥対策としての道床バラスト更換では、今までの人力施工に代わり、新旧バラスト運搬用のホッパー車、道床更換機、バラスト肩掘削用リッパ付きモータカー、バラストをつき固めるマルチプルタイタンパーで構成され、反対線に列車を通しながらの道床更換が可能な「丹那トンネル用道床更換機械群」を1994(平成6)年に導入し、作業効率を約5倍に高めた。これらの設備改善が功を奏し、現在トンネル内は上下線とも7.6kmのロングレールとなり、乗り心地は格段に向上した。構造物検査や工事の際は三島口付近に設けられた保守基地から保守用車や軌陸車(レールの上も走れるトラックなどの工事車両)がトンネル内へ向かう作業形態が続いていたが、2009(平成21)年にはJR東日本の協力により熱海口付近にも軌陸車の載線設備が設けられ、限られた時間内での作業効率の向上に貢献している。■丹那トンネルの意義丹那トンネルは、東海道本線のスピードアップ、輸送力向上のみならず、その後の我が国のトンネル技術の発展に果たした役割は多大なものであったと言える。特に水抜き坑やセメント注入の技術は、後に施工された長大トンネルでも用いられた。1964(昭和39)年には東海道新幹線が開通し、長距離旅客輸送の主役は新幹線になって久しいが、今後とも丹那トンネルは鉄道貨物の大動脈と地域の足としての東海道本線の輸送を支えていくことだろう。<参考資料>1)『日本国有鉄道百年史』日本国有鉄道1970年財団法人交通協力会2)『東海道線』原田勝正宮脇俊三日本鉄道名所4勾配・曲線の旅1986年小学館3)『丹那隧道工事誌』鉄道省熱海建設事務所1936年4)『丹那トンネルの話』鉄道省熱海建設事務所1934年5)『鉄道路線変せん史探訪真実とロマンを求めて』盛田久盛高島通1978年集文社6)『丹那トンネル内の機械編成群による道床更換』阿部謹一新線路50巻1996年1月号鉄道現業社7)『時事的記事JR東海丹那トンネルのロングレール化』山梨和美新線路64巻2010年6月号鉄道現業社<取材協力・資料提供>東海旅客鉄道株式会社静岡支社<図・写真提供>図1、写真1土木学会土木図書館P42上、写真3、5、7塚本敏行写真2、4谷口史記写真6、10水野寿行写真8、9東海旅客鉄道株式会社静岡支社Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016045