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写真3民族衣装も歓迎される。世界80カ国以上の人々が住み、誰もが街に溶け込める─それがオシュだ。霊峰スレイマン山オシュの歴史は、この町の中心にそびえる山の歴史と深く関わっている。他の山と連なっていないこの山は、ソロモン王になぞらえてスレイマン・トーと呼ばれる。この山こそがオシュの町の中心だ。古くから伝わる話によると、大昔、この町を通過していたソロモン王がこの山を見て、あまりの美しさと素晴らしさに感動して登りたくなった。いざ頂上に着くと、眼下には見たことのない絶景が広がっていた。オシュ発展の可能性に最初に気づいたのはソロモン王だったのだ。王は山頂から美しい谷を見下ろしたとき、ここに王宮を構えると決めた。だがその土地に水がないことを知ると、王は水の恵みを写真4ウイ与えるよう、神に祈った。そうして現れたのがアク・ブーラ川だという。川はこの盆地全体を囲むように流れ、清らかな水を与えてくれる。王は神に感謝するため、山頂にモスク(神の家)を建て、終生、そこで神を愛し敬った。ソ連時代、つまりキルギスタンがソビエト連邦の共和国だった頃、スレイマン山は体制に抵抗する者や貴族の処刑場であった。兵士が聖職者たちを処刑しようとしても、奇跡が起きて彼らはなぜか死ななかったという言い伝えもある。スレイマン山は霊峰だと信じていた。純粋な心で神を信じる敬虔な人を、この山は守ってくれると、誰もが信じていた。これらの話が本当かどうかは分からないが、今日でも世界の数十億人がスレイマン山を聖なる山だと信じている。2kmにわたって連なるこの山からはオシュの町を一望できる。山頂にはソロモン王が建てたバブール・モスクがあり、世界中からイスラム教徒が巡礼に訪れて神の加護を祈る。何百万もの女がやってきては子宝と健康を、何千万もの男がやってきては神の助けと成功を祈り、そして何億もの人がやってきては神を崇拝する。今日、スレイマン山は世界遺産に登録されている。キルギスの家オシュの特徴と言えば、その伝統と風習だろう。楽しいものもあれば、不思議なものもあるが、どれも素敵で面白い。キルギス人は長い歴史を持つ民族だ。ソ連時代の前までは遊牧民であり、山あいで何百頭もの家畜を追って生活していた。いつも移動し続けているので、家もなく、建て方も知らないほどだった。冬の凍える寒さや夏のうだるような暑さをしのぐのは、「灰色の家」「キルギスの家」と呼ばれる「ボズ・ウイ」「キルギス・ウイ」だ。槌や釘等の工具がなくても建てられる、世界に例を見ない住宅とされる。ごく普通のロープと材木を組み立て、羊毛でできた長い布を巻けば、わずか1~3時間で完成する。ここは地震がないので、近代建築よりも安定している。写真5スレイマン山写真6バブール・モスクCivil Engineering Consultant VOL.271 April 2016047