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Consultant271
写真7民族帽子(カルパック)写真8マナス王像冬は暖かく、夏は涼しい。内部は上下に分かれ、上階は男たちのスペース、下階は厨房があり女たちのスペースだ。オシュの男性古代から現代に至るまで、オシュでは男性は一家の長として特に尊重されてきた。カルパックを頭に載せ、侵略者から国を守るのがマナス王の時代から変わらない男たちの役目だ。『マナス王の物語』は世界最長の叙事詩で、世界100カ国語以上に翻訳されている、キルギス人の誇りだ。この叙事詩の最大の特徴は、文字を紙に書くという記録手段が登場するまでの何千年にもわたり、世代から世代へと口承で受け継がれてきた点にある。最近になって、オシュ空港に近い市内に、マナス王をたたえる巨大モニュメントが建設された。その姿はまるで、オシュの町を訪れるすべての人を歓迎しているかのようだ。男たるものは勇敢で信頼されるべきであり、妻を大事にし、家族の必要とするものをすべて調達するのが務めである。それでこそ真の英雄になれるのだ。カルパックとは、キルギスタンの男性がかぶる伝統的な帽子で、羊毛でできている。羊毛は寒い時には暖かく、暑い時には風通しがよく、オシュをはじめキルギスタン全体で非常に大事にされている。カルパックは三角形で、アラ・トー山脈を模している。山のように、空に向かってまっすぐかぶることで、テニル(神)への敬意を示す。三つの面すべてにキルギスの伝統的な刺繍が施されており、キルギス文化の美しさを見ることができる。改まった場─結婚式、葬式、あるいは誕生日などの折に、男性にはカルパックが贈られる。オシュの町が年々変化を続けるなか、カルパックを日常生活でかぶる人もやや減ってはいるものの、男性なら2個はカルパックを持っていることだろう。オシュの女性オシュの女性は近代化しているが、決まり事としての伝統にはみな従っている。オシュの女性にとって最も重要な役割、それは家庭と家族の中心となって、暖かい雰囲気を絶やさないことだ。女性は山の清水のように純潔なまま、夫となる人の家に嫁がなくてはならない。夫だけでなく親族全員を敬い、夫の親族や家族を名前で呼んではならない。家事をすべてこなし、良き妻、母、嫁でいなければならない。妻となる女性は、ジュルックと呼ばれるスカーフを頭に巻くことで、既婚者であることを他人に示す。ジュルックの色は、純潔と優しさを象徴する白だ。最も興味深く不思議なことここでは「家族」は特別な意味を持つ。家族は人生で最も重要だ。親は最期まで子の世話をし、子も最期まで親の世話をする。親を介護施設に預けることは最大の恥とされ、大きな噂となってしまう。キルギスには「結婚は天が決めるもの」という諺があるが、家族に対するキルギス人の考え方をよく表していると言えよう。家族という人生の重要な環においては「結婚」、そして伝統行事や風習が非常に大きな位置を占める。そのなかでも最も興味深く不思議なことは、オシュで結婚するには、男は結婚したい相手の両親から花嫁を買うための結納金を用意し、300~500人もの客を最高のレストランに招いて祝宴を行わなければならないことであり、また女はタオルから家具まで必要なすべてのものがそろった新居を用意しなければならないことだ。さらには、双048Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016