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Consultant271

世界のいろいろな国を旅してきた。行き先は観光地的なところは皆無に近く、むしろあまりヒトのいかない辺境地といわれるようなところが多かった。その中には二カ月以上も費やして長距離を移動していくモロに探検隊そのものの旅も多かった。どんなところを移動するのでも「いかにその日の食べ物にありつけ、いかに安定した排泄をしていくか」という人間の基礎的条件が最大の課題になることが多かった。そういう旅で体験的に感じるようになったのは、日本のトイレ事情は世界一だな、ということだった。ひとつにはおしなべて「衛生的」である、ということ。そしてもうひとつは「精神的に安堵できる」ということだった。たとえば対極的な例として中国のトイレをあげておこう。何度も行っている国だが、日本人の感覚的常識は簡単にくつがえされる。この国は世界でもめずらしい「開放便所」が基本だからだ。大便をするところが個室ではない。今はだいぶ近代化されてきたが、田舎のほうにいくとまだ沢山存在しているそれは、隣とのしきりもなければドアもない。要するに完全にムキダシのまま大便をするようになっているのだ。しかもため込み式のところだとその臭気たるや呼吸するのが苦痛になるほどだ。ちいさな村などでは公衆便所(公厠)の数が少なく、ムキダシで排泄しているヒトの前に行列ができていたりする。タクラマカン砂漠探検のときのオアシスの村などがそうだった。慣れるまでは「人間の条件」などという、たいそうなことまで頭に浮かべてしまったものだ。インドやロシアなど国のスケールが大きくて沢山の人がいる国のトイレはその不潔さにおいて似たようなものだった。発展途上の小国やアフリカなどは、トイレそのものがなかったりする。みんなそこらの草むらや林のなかで始末特集トイレ日本のトイレは世界一006Civil Engineering Consultant VOL.271 April 2016