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図3カリオカ水道橋の構造図図4支柱撤去部の構造図写真1橋脚間にあった住居図5アーチ部の検討図同様に水質が問題となっている。19世紀後半になると、市内の水道供給網の整備が進んだことから、橋は水路としては利用されなくなった。そして1896年以降、カリオカ水道橋はサンタ・テレーザと中心街を結ぶ路面電車の陸橋として使用されるようになったのである。1859年に開業した路面電車は、当初の動力はロバで、その後、蒸気、電気へと変わっていった。写真2試運転中の路面電車内1872年、カリオカ水道橋周辺の交通を確保することを目的に、二重アーチの橋脚を1本撤去して橋脚間を倍に広げるための工事が行われた。さらに1945年には同じ理由で別の橋脚を撤去した。しかし、この2カ所の橋脚部分は、景観の観点から1980年代になって鉄筋コンクリートで復元されている。1950年頃まではアーチの下の空間には商店や住居があった。この建築は違法ではなかったようだが、どのように許可されたかは不明で、後年、周辺の整備を行うため撤去されたらしい。2010~2011年には水道橋の保全を図るため、ブラジル文化遺産の保全を担っている組織IPHANが中心となって改修が行われた。水路から電車へ変更するにあたって、当時の資料が無いため設計方法や補強の有無、工法などの技術的に不明な点が多い。このため、維持・補修工事に当たっては多くの仮定を設定して検討が進められた。白く塗り直されているのは、昔から白がシンボルとなっているためで、石の保護も考慮されている。補修のための調査の結果、使用した煉瓦は長さ30cm、046Civil Engineering Consultant VOL.272 July 2016