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熊本地震災害現地調査熊本県庁九州道盛土崩壊国道57号斜面崩壊阿蘇大橋大切畑橋大切畑ダム益城町津森の横ずれ断層液状化による秋津川堤防・下水道被害3km図1 調査個所位置図(出典:国土地理院の電子地形図(タイル)に視察位置を追記して掲載)2016年6月9日から10日にかけて、熊本地震被災地の現地調査を実施した。本部から長谷川会長はじめ9名、九州支部から村島支部長はじめ7名、合計16名で調査団を構成し、技術部会の専門技術者が多数参加した。1.現地調査本部参加者が東京から福岡入りした初日は、現地移動が可能な普通車に分乗し、時間短縮のため車内で昼食を取りつつ現地入りした。初日の調査個所は、国道57号の被災・阿蘇大橋落橋等の発生個所と大切畑ダム・大切畑橋に絞った。被災地に近づくと国道57号の通行止めの影響か、限られたアクセスルートに車線いっぱいの大型車を含む車両が通行し、復旧工事が本格化した場合にアクセス確保が課題となることが予想された。また、途中通過した南阿蘇村の集落では学生住宅等の被災建物も見受けられ、痛ましい犠牲者の発生が思い起こされた。国道57号の被災箇所については、落橋した国道325号阿蘇大橋が架かっていた黒川の対岸から、ほぼ山頂から崩落した大規模な斜面崩壊の状況が眼前に観察できた。斜面中腹において、緊急対策工事のための準備工事が実施されている。谷底まで至る崩落土砂のため、阿蘇大橋で確認できたのは、左岸側アバットのみであった。また、近接する国道325号南阿蘇大橋は、アバット付近の地山の崩壊等による変位が生じ、通行止めとなっていた(写真1)。続いて、県道熊本高森線大切畑橋及び大切畑ダムの被災箇所に向かった。断層のずれに伴う施設被害が明瞭に観察できるとともに、大切畑橋の曲線を描く上部工、深い谷に立つピア、それぞれが健全に見える一方、橋梁部と取り付け部で大きくずれる車線の光景に驚かされた。また、大切畑ダムは、水位を下げた状態で維持されていた(写真2)。二日目は、九州自動車道・益城熊本空港IC~嘉島JCT間の盛土崩壊箇所に向かった。2度の震度7を記録した益城町内の調査となり、住宅の被害も随所にみられた。当該区間はゴールデン・ウィークに間に合わせて開通させたが、下り2車線は盛土の崩落を復旧するため通行止めが続いており、上り2車線を使った対面通行となっていた。鋭意復旧工事が実施され、既に盛土部分の形状は一部回復しているが、これに続く橋梁部分も上部工の変形、変位が生じており、全体の復旧にはまだ時間を要するものとみられる(写真3)。写真1国道57号及び阿蘇大橋落橋の被災状況写真2終点側から見た大切畑橋の被災状況写真3 九州自動車道の被災状況056Civil Engineering Consultant VOL.272 July 2016