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ここから秋津川を上流に移動し、液状化の影響とみられる堤防の沈下が連続的に生じていることを確認した。天端の舗装は復旧しているものの、川側には沈下をカバーするために大型土嚢が連続的に並べられていた。川沿いには液状化による下水道マンホールの浮き上がりや、応急復旧による橋梁アプローチ部の急坂が多数確認された(写真4)。益城町津森地区の水田では、地表に現れた明瞭な断層の状況を観察した。水田の畔を見ると1m程度の横ずれが確認できる。現地では、京都大学により地表から地中への断層形成状況の確認調査が実施され、さらにテレビ取材も加わり、断層性地震への今後の対応についての関心の高まりが感じられた(写真5)。30度近い真夏を思わせる晴天の中、予定された現地調査の行程を終了した。2.熊本県土木部九州支部熊本県部会の案内で土木部を訪問、意見交換を実施するとともに、会員から寄せられた義捐金を手島土木部長にお渡しした(写真6)。意見交換では、手島部長から、国の迅速な対応と代行事業等による支援に対する高い評価とともに、協会会員の精力的対応についての感謝が述べられた。さらに、今後の災害復旧への支援と今後の備えとしての災害協定締結に向けた協力を求められた。会長からは、九州支部を中心に引き続き協会の総力を挙げて支援するとともに、国との間のみならず自治体との災害協定締結についても積極的に検討していく旨を述べた(写真7)。3.九州地方整備局藤井副局長、土井道路部長を訪問し、意見交換を行った。2度にわたる震度7の発生等これまでに経験のない地震災害であり、早期復旧への対応とともに、今後の施設構造のあり方の検討の重要性、これまでの災害を踏まえた設計基準の整備や耐震対策の実施効果につい写真4 液状化による下水道マンホールの浮き上がり写真6 長谷川会長から熊本県手島土木部長への義捐金の手交写真5益城町津森地区の横ずれ断層写真7 協会幹部と熊本県土木部との意見交換ての認識を確認した。テックフォースを含め、国土交通省の迅速な対応への県の高い評価と期待を伝えるとともに、整備局からは協会支部の精力的な業務支援の対応について感謝が述べられた。また、今後、整備局の体制をさらに強化する予定であるが、職員での体制確保に加えて、協会の協力への期待が述べられ、会長からは協会ができる限りの対応を行う旨を述べた。4.終わりに短期間であったが、一連の現地調査を終了し、九州支部にて参加者全員による調査結果と今後の対応についての打ち合わせを実施した。被災状況については、九州支部において特徴的事象を中心に記録整理が進められており、今後の災害対応に役立つ資料とするため、現地調査成果等を加え、報告書として早急に取りまとめることを確認した。今回、被災状況の調査とともに協会会員からの義捐金をお届けしたが、被災者の方々が一日も早く平常の生活を取り戻され、地域の復旧、復興が速やかに実現できるよう、協会及び会員の貢献の重要性についての認識を一層高める機会であった。(文責:高野匡裕)Civil Engineering Consultant VOL.272 July 2016057