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写真6 2011年11月23日に供用を開始した新可動堰写真5 青山士と宮本武之輔の「信濃川大河津分水路」の旧可動堰く過程の光景が浮かびました。建設コンサルタントの頑張りには胸に迫ってくるものがありました。前川:私も「皆さん本当に、何でここまで頑張れたのかな」と思います。火事場のばか力なのか、あそこまでできた理由は、壊れたものを目の当たりにして、自分がやらないわけにはいかないという技術者としての使命感と復興に貢献したいという強い意志、その二つがあったからだと思っています。角田:苦しんでいる人がいるなら、立て直すために、自分たちの知恵を惜しまず出すことが、頑張りの源だと思います。そういう気持ちを持ってずっとやってきたのではないでしょうか。緊急時のルール前川:震災から5年経過して、何か気になることはありますか。角田:東北の高速道路をめぐって東京地検特捜部が談合の摘発をしたニュースを読んだとき、「震災から1カ月、3カ月、半年、1年のとき被災地はどういう状況だったのだろうか」を、自分なりに思い浮かべます。法律を当てはめればこうだという見方はできるかもしれないですが、もう少しあのときの状況を思い出して欲しい。復旧・復興のときに港に入る船は「早く着いた船を、急ぐ港に」という緊急ルールみたいなものがありました。本来は手続きが必要だったと思いますが、行政なり国なりが緊急ルールで対応しました。前川:平常時と緊急時の公共調達のルールが同じである必要はないし、逆に同じではいけないと思います。あれだけの大災害ですから、その地域の会社は被災し機械設備も被害にあって、できる人はそもそも限られているわけです。復旧を一番早くできる人、能力のある人、人を集められる人を発注者が調査して、1人しかいなかったら特命随意契約でお願いすればいい。3社なら指名競争にして「とにかく、こことこことここを分担してやってくれ」と要請すればいいと思います。今言われた「緊急ルール」というのをきちっと作っておかないと、いずれまた同じようなことが起きます。首都圏直下型地震とか南海トラフ地震の可能性もあるわけですからね。それに限らずとも災害が頻発しているので、平常時と違うルールを国全体としてあらかじめ合意しておくことが非常に重要だと痛感しました。角田:事前に用意をしておけば「これでいきましょう」と行政のほうから声をかければ動けます。前川:建設コンサルタントには施設を設計した人がいます。どういう考え方で設計したかは、その人が一番よく分かっています。被災したときに現地に行けば、すぐに「こことここをこうしたら直せる」という提案ができるはずです。そういうこともルール化すれば、初期対応でスピードを要求される場合は、格段に速くなると思います。熊本地震前川:4月14日に始まった熊本地震によって甚大な被害が生じ、未だに多くの方々が避難所生活を余儀なくされています。犠牲になられた方、被害を受けられた方にご冥福とお見舞いを申し上げます。建設コンサルタンツ協会では地震発生直後から九州支部を中心にインフラの被害調査を開始しました。関係機関と連携し一日も早い復旧復興に全力で取り組んで参ります。角田:熊本地震で犠牲になられた方々のご冥福と、被害に遭われた方々、いまなお避難生活をされている方々に対しお見舞い申し上げます。特に私は東京都市大学で、親元を離れ全国から集まる学生たちを相手に授業を受け持っていますから、学生アパートがもろくもつぶれ、前途ある若い命が失われ004Civil Engineering Consultant VOL.272 July 2016