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写真7 2012年8月11日の旧可動堰の撤去式にて。左から前川北陸整備局長、宮本信(宮本武之輔ご子息)、青山多恵(青山士ご子息)、常山信濃川河川事務所長たり、大けがをしたりしていることに胸が痛みました。多くの建設コンサルタントや土木人が、復旧・復興に懸命に尽くされていると思いますが、あらためて「初動の対応」とさまざまな分野での「検証」に力を入れてほしいと思います。社会貢献に直結する仕事前川:未来を担う建設コンサルタント技術者になってもらうために、いい考えはないものでしょうか。角田:記者時代に私が大切にしてきたことは「人に会うこと、旅をすること、本を読むこと」です。これを自分のモットーにしてきました。建設コンサルタントの若い人たちも、生身の人間に会うこと、旅をして新しいものを見ることが大事だと思います。それと、本を読むことで先人を知ることができます。廣井勇という明治から大正にかけての土木人がいました。札幌農学校で若い頃に社会への奉仕の精神をたたき込まれ、後に土木学者、現場実践監督、教育者になりました。また、私は東京の下町生まれですが、下町を大洪水から守る「命の防波堤」といわれる荒川放水路を造った静岡出身の青山士という土木技師がいました。さらに、八田與一という金沢出身の人は烏山頭ダムを造り、台湾の荒れ地を緑野にしました。今も台湾の人はこの人を忘れていません。現代ならアフガニスタンで活躍するドクターの中村哲さんです。九州出身で、九州大学医学部を卒業した医者ですが、故あってアフガニスタンに渡って診療をしていました。ところが飢饉などがあって、「医者は100人の命を救えても、万単位の命を救うことはできない。万単位で救うためには、水を引いて、農業で小麦を作らなければならない」と考えを新たにし、アフガニスタンで灌漑用水を造っています。九州の川の灌漑用水などを独学で勉強したそうです。こういう先人たちや現代に生きる土木人を、若き建設コンサルタントの人が知ることは、いいお手本になります。ぜひ本を読んで欲しいと思います。前川:余談ですが、今話があった青山士に関してですが、信濃川大河津分水路の可動堰の老朽化と流下能力の向上のため、新可動堰が完成しています。私が北陸整備局長だった際に、青山士と宮本武之輔が精魂傾けて建設した旧可動堰は、一部を残して解体することになりました。このため、大変珍しいことですが、大河津分水旧可動堰撤去式を実施いたしました。両先人のご子息の方にも出席頂き、多くの方々が旧可動堰に感謝を込めて名残を惜しみました。また、八田與一は私と同じ金沢の出身で大学も同じですので昔から注目をしてました。このような偉大な先人の業績を世の中に紹介することも、大変重要で意味のあることだと思います。『震災復興への道のり』の鼎談で、大島一哉前建設コンサルタンツ協会副会長が、「建設コンサルタントの仕事そのものが社会貢献に直結している非常に恵まれた職業だ」と言っています。仕事をして社会貢献したという誇りを感じることができるのは、職業人としても非常に幸せだと思います。こんなに恵まれた職業で、幸せな思いをできる分野ですので、もっと優秀な学生がどんどん入ってきて頂きたいと思っています。『震災復興への道のり』がその一助になれば大変うれしいことです。<写真提供>角田氏・前川氏顔写真、写真8初芝成應写真3、4株式会社NJS写真5平田潔写真6国土交通省信濃川河川事務所写真7常山修治写真8 2016年4月建設コンサルタンツ協会に於いてCivil Engineering Consultant VOL.272 July 2016005