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Consultant275
表1 2008年の図書館法の主な改正内容(斜体が新設・改正された箇所)第一章総則第3条図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。一郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。八社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。第7条文部科学大臣及び都道府県の教育委員会は、司書及び司書補に対し、その資質の向上のために必要な研修を行うよう努めるものとする。第7条の2文部科学大臣は、図書館の健全な発達を図るために、図書館の設置及び運営上望ましい基準を定め、これを公表するものとする。第7条の3図書館は、当該図書館の運営の状況について評価を行うとともに、その結果に基づき図書館の運営の改善を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。第7条の4図書館は、当該図書館の図書館奉仕に関する地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該図書館の運営の状況に関する情報を積極的に提供するよう努めなければならない。することとなるよう”が付け加えられ、また第15条図書館協議会の委員構成に“家庭教育の向上に資する活動を行う者”が追加された。図書館の「望ましい基準」の整備図書館法第7条の2(設置及び運営上望ましい基準)も今回の改正で新たに設けられた。これは改正前に「第二章公立図書館」の第18条にあったものが、私立図書館をも含めて基準とするために、“公立”の二文字を削除し、単に“図書館”の設置及び運営上望ましい基準としたうえで、第18条を削除し「第一章総則」に移項されている。旧法での“公立”図書館の望ましい基準が、2001年7月に大臣告示されてから7年が経過した時点での改正である。当時の生涯学習審議会社会教育分科審議会の図書館専門委員会(筆者は委員)において、盛んに議論された点は、数値基準を示すかどうかであった。当時の生涯学習・社会教育行政の担当者の間では、図書館の床面積や蔵書数、さらには専門的職員の人数等について、国による数値基準の明示を求める空気が無いわけではなかったが、「地方分権・規制緩和」の流れのなかでかき消され、最終的に数値は盛り込まれなかった。国が一律の数値基準を示すことは、「規制」にあたると考えられたからである。その結果、率直に申し上げて、総花的な設置と運営の条文が、拘束力の無い努力規定にすぎない文章で淡々と続く基準の「活用度」は、必ずしも大きいとは言えない。例えば、基準中の「職員の資質・能力の向上等」には、“教育委員会は、専門的職員の配置の重要性に鑑み、その積極的な採用及び処遇改善に努める”とあるが、業務の民間委託や指定管理者の導入が進むなかで、この文言が実質的にどれほど省みられたかは疑わしい。むしろ大きな関心を抱いて基準の動向を見守っていたのは、私立図書館の関係者ではなかろうか。私立図書館は、もともと民法第34条の公益法人が設置する図書館であったが、いわゆる公益法人制度改革関連三法の施行にともなって、その設置母体は一般社団法人もしくは一般財団法人あるいは公益社団法人もしくは公益財団法人への移行を迫られた。そうした法人が設置し“一般公衆の利用に供し”(図書館法第2条)ている図書館が私立図書館である。いずれにせよ、この法改正を受けて『図書館の設置及び運営上の望ましい基準』は、公立図書館だけでなく私立図書館をも含めたものに改正され、2012年12月に告示されている。図書館の運営状況に関する評価ならびに関係者への情報提供これには、同じく新設の図書館法第7条の3(運営の状況に関する評価等)、同第7条の4(運営の状況に関する情報の提供)が該当する。運営の状況に関する評価やそのための情報提供は、社会教育行政において初めて法制化されることになる。なお、公民館については社会教育法第32条および第32条の2において、また博物館については博物館法第9条および第9条の2において、図書館の場合とほぼ同様の努力義務が今回、規定された。国及び都道府県による司書・司書補の研修改正図書館法第7条においては、国及び都道府県による司書及び司書補に対する研修の努力義務が規定され、博物館法第7条においても同様に国及び都道府県008Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017