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Consultant275
写真3 開館から20年以上経った今もなお市民に愛されている伊万里市民図書館写真4 伊万里市民図書館の館内には市民の作品があちこちに展示されている町の生き残りを賭けた岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」近年、日本の少子高齢化問題が盛んに議論されている。日本の人口は2016年10月に総務省が公表した平成27年国勢調査確定値によると、1920(大正9)年の調査開始以来、初の減少に転じた。以後、ジェットコースターが頂点から一気に下るように、急激な人口減少が進むと予測されている。このままの東京一極集中と地方からの人口流出が続けば、896自治体が消滅しかねない。そう警鐘を鳴らしたのは、元総務大臣の増田寛也氏が座長を務める日本創成会議が出したレポートだった。地域振興という課題は、現在のような東京一極集中による地方の過疎化が始まった1960年代からすでに国や地方自治体で認識されていた。しかし、有力な対策がないまま現在に至っている。そこで発表された「増田レポート」と呼ばれるこの推論は、存続が危ぶまれる自治体を名指ししていたため、自治体関係者の間で大きな衝撃が走った。安倍内閣が掲げる政策「地方創生」にも影響を与えたとされる。そんな中、町の生き残りを賭けたまちづくりを展開し、地方創生の先駆例として全国から注目を集めしわちょうているのが、岩手県紫波町だ。人口約3万3千人。盛岡市から電車で20分ほどのベッドタウンでありながら、食糧自給率が170%という農業が盛んな地域でもある。ただ、有名な観光地や特産品があるわけでもなく、一見、どこにでもあるタイプの地方自治体だった。他の地方自治体と同じように、紫波町も少子高齢化問題を抱え、1985年以降、年少人口の減少と老年人口の増加が続いていた。2013年の時点で、30年後には人口が約7,300人減少、財政規模も115億円から100億円まで縮減するという予想もされていた。そこで、始まったのが「オガールプロジェクト」と呼ばれるまちづくり計画だ。紫波町はバブル経済崩壊直後の税収がピークを迎えていた時に、老朽化した町役場と新しい図書館などの建設用地として駅前に10.7haの土地を取得していた。しかしその後、開発する予算がな写真5 町の生き残りを賭けたオガールプロジェクトの中核施設として2012年に開館した紫波町図書館012Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017