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特集3国進化する図書館立国会図書館を知ろう長尾真NAGAO Makoto国際高等研究所所長/元国立国会図書館館長京都大学名誉教授・元総長唯一の国立図書館である国立国会図書館は、国会に対するサービスを第一とする一方で、国民に対するサービスも行っている。収蔵数は世界で4 ? 5番目の規模を誇る。増え続ける収蔵数に対して災害等を考慮した対策や、一般向けのサービス、電子化対応などの取り組みを紹介する。国立国会図書館の使命国立国会図書館(以後国会図書館と略称)は国立の唯一の図書館です。その前身は1873年に設立された書籍館(後の帝国図書館)でしたが、戦後の新しい憲法のもとに1948年に米国の連邦議会図書館に範をとって国会図書館となりました。“国会”図書館と名付けられているように、立法府に属し、国会の諸活動に対するサービスを第一とし、行政・司法の各部門や国民に対するサービスも同時に行っています。国会図書館は納本制度に支えられて、国内で出されるあらゆる出版物、資料類を収集することになっています。納本制度とは、あらゆる出版物は出版されて1か月表1国立国会図書館所蔵資料点数(平成27年度末)第Ⅰ種資料平成27年度末所蔵点数平成27年度受入点数総計4188万1649点831,184(主な内訳)図書1075万1931点219,051(うち和漢書)(うち洋書)798万7563点276万4368点189,26829,783雑誌1141万1685点340,987(国内雑誌)(外国雑誌)765万6405点375万5280点284,34256,645新聞562万2888点211,932(国内新聞)(外国新聞)374万6571点187万6317点137,68774,245マイクロ資料912万592点13,459録音資料71万5341点10,224光ディスク13万4532点6,459地図56万3282点5,383博士論文59万2392点2,696文書類38万4944点9,781(出典)『国立国会図書館年報平成27年度』平成28年10月刊行以内に1部(公的機関の場合は30部以下)を国会図書館に納入することを法律によって義務付けた制度です。出版社のほかに政府や公共団体、企業や個人が出版するものなど広く各種の出版物が含まれます。現在国会図書館が収蔵している出版物、資料類などの年間の収蔵数を表1に示します。総点数は4千万点を超えました。これは世界の図書館と比較すれば4~5番目の規模です。一番規模の大きいのは米国の連邦議会図書館で、1億6千万点の資料を持っています。日本には国会図書館のほかに、全国各地の自治体が運営している公共図書館、大学図書館、小中高校の学校図書館、医学や薬学などの専門図書館など、いろんなものがあります。こういった各種の図書館にない図書や資料が必要な時にはその図書館を通じて、国会図書館から資料を貸し出すというサービスをしています。したがって国会図書館は図書館の最後の拠り所という性格を持っています。東京本館国会図書館は東京本館、関西館、国際子ども図書館の3つからなっています。東京本館(写真1)は国会議事堂の隣にあって、国会の諸活動を支える仕事をしています。国会議員は国会で取り上げられる多方面の課題について調査し、質疑応答をし、また法律を作る仕事をしていますので、それらの活動に必要な調査資料を提供することが重要な任務になっています。年間に約4万件の質問や調査要求があり、約200人の専門職員がその要求にこたえる仕事をしています。014Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017