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Consultant275
写真4大阪府立大学まちライブラリーまりごとにテーマ別の本を集めた。各グループの数名程度の参加者が施設全体に広がって同時に本を持ち寄り、話を進めた。結果、二日間で延べ約500名が参加することになった。現在でもこの方式で、利用者が自主的にイベントを実施している。2016年9月現在では9,700冊の本が集まり、開館以来600回以上実施して延べ約1万人が参加し、登録会員も約1,400名になる。商業施設に併設されたまちライブラリー2015年春、東急不動産が運営する大阪市中央区森ノ宮のショッピングセンター内にまちライブラリーが誕生した。ここは約50店舗が入る地域密着型の商業施設で、その一区画をディベロッパー自らコミュニティ施設として運営している。まちライブラリーの館内には、カフェ、FM局のサテライトスタジオ、子どもコーナーなどもあり、壁一面が本棚になっている。小さなイベントが月20回以上実施されるだけでなく、FMの公開放送やカフェで食事や飲み物を楽しむ人、親子連れの利用なども目立つ場所になっている。開館以来、1年9カ月で28万人の利用があり、寄贈数も1万2千冊を越え、本の貸出も累計2万1千冊に達している。同じ中央区にある公共図書館の年間利用が13万人(2015年)であったことを考えると、地域の多くの人に利用されている施設といえる。公共図書館との連携まちライブラリーは多くの公共図書館とも連携している。連携のタイプは二通りあり、公共図書館の市民サポーターが運営して公共図書館内のエントランスや施設の一部に設置している場合と、公共図書館自身が音頭をとって進めている場合である。伊丹市立図書館や墨田区立ひきふね図書館では、市民グループが自主的な集まりを実施し、持ち寄った本を館内に設置して貸出もしている。逆に鶴ヶ島市(埼玉県)、宮若市(福岡県)、鳥取市、岐阜市、雫石町(岩手県)では、図書館が音頭をとって市役所や駅、公民館、さらにはカフェや歯科医院など民間の協力も得てまちライブラリーを設置している。このように公共図書館だけでもできない活動をまちライブラリーという形で補完し、市民参加型の本によるまちの活動が実施されている。地域活性とまちライブラリー2016年12月、北海道千歳市の中心市街地に「まちライブラリー@千歳タウンプラザ」が誕生した。かつてあった民間の商業ビルを全館リニューアルして、その中心施設としてまちライブラリーを設置し、地域の賑わい空間にしようというものである。ビルの運営者であるセントラルリーシングシステム株式会社は、地上3階、地下1階の延床面積1万5千m 2の内、2階に子どもランド、地下1階に屋内パークゴルフ場を併設し、1階部分に約800m 2のまちライブラリーと約300m 2のカフェを中心にイベントや会議もできる場所を設置したのである。開館1カ月で寄贈された本も7,500冊を越え、地域のコミュニティライブラリーとして運営されている。このように民間の力でかつての中心市街地に文化施設を作り、老若男女が集う場に変えていこうという試みは非常に珍しい事例であり、私も運営アドバイスをしながらその趨勢に注目しているところである。「人の発酵」まちライブラリーを中心にその誕生の背景から活動概要を紹介してきたが、私が最も大切にしているのは利用者の自発的、主体的な参加である。まちづくりや地域活性化について行政や企業も様々な試みをしてきているが、住民は受け身であり私事として考えないケースが020Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017