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特集6図進化する図書館書館の未来?復権、拡張、再興、進化?岡本真OKAMOTO Makotoアカデミック・リソース・ガイド株式会社/代表取締役/プロデューサー図書館のもつ「無料」と「リピート」という特性は大きな集客能力を秘めている。このポテンシャルを活かしたまちづくりや、本来の役割にあるレクリエーションの部分が見直され、各地でさまざまな取り組みが展開されている。そして、さらに先を見据えた図書館の未来について考えたい。集客施設としての図書館2013年にリニューアルオープンした佐賀県の武雄市図書館は大きな注目を集めた。施設自体、建築的には元々高い評価を得ていた図書館であったが、図書館とカフェを大胆に組み合わせ、さらには書店機能を複合させたリニューアルは年間約100万名の来場者を集めるまでになった。もちろん、この取り組みへの賛否はあり、このリニューアルに至る行政的なプロセスには疑義も寄せられている。「功罪相半ば」という表現が妥当と思うが、新・武雄市図書館の登場は、図書館に対する社会の関心を大いに高めたことは事実である。とはいえ、100万名の来場があったという点については慎重に評価すべきだろう。というのは、これ以前から年間の来場が100万名を超える図書館は存在したからだ。たとえば、2008年オープンの長崎市立図書館(写真1)、2011年オープンの東京都武蔵野市のひと・まち・情報創造館武蔵野プレイスと、熊本市のくまもと森都心プラザ図書館(写真2)はオープン早期から年間100万名の来場を達成していた。その意味で武雄市図書館のリニューアル時点での100万名という数字は、決して驚異的な数字ではなくなっていたのだ。もちろん、人口規模を考えると、一概に比較しても意味はないが、重要な点として次の点を強調しておきたい。図書館はいまや100万名の年間来場数の達成に一喜一憂する存在ではない。むしろ、少なくとも新規開館にあたっては50万、100万といった数字がなかば期待される集客施設となっているのだ。写真1長崎市立図書館復権する図書館さて、なぜ図書館がそれだけの来場者を獲得するようになったのだろうか。そもそも現在はやや頭打ち傾向・微減傾向がみられるが、過去20年ほどをみれば、公共図書館の利用者は増加の一途をたどってきた。増加の背景には施設数そのものの増加もあるが、景気低迷による消費意欲の鈍化とそれ026Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017