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い当てるのは、最多のビルマ族の人々にとっても難しい場合が多いらしく、「名前」「服装」「ミャンマー語の訛り」などから初めて気づくこともあるようだ。なお、民族や文化の多様性は間違いなくミャンマーの魅力の一つだが、民族間の対立構造は独立以降の恒常的な課題でもある。段階的な停戦合意が結ばれているものの、少数武装勢力とビルマ民族(国軍)の衝突・緊張関係は現在でも存在している。言語ミャンマーでは公用語のミャンマー語の他、民族特有の言語が使用されている。民族間の言語の違いは「方言によるバラエティー」と捉えられるようなものではない。民族特有の言語とミャンマー語を両方話せる人はバイリンガルなのである。また、英語は街中であまり通じない。ミャンマー語の表記はアルファベットではないため、外国人が飲食店などで言葉が通じず困った時に、「表記通り発音してみる」とか「スマホに打ち込んで自動翻訳する」といった常套手段が取れない。一方で、外国人と接する職業に就く一部の人々は英語が得意であり、日本語や中国語などのアジアの言葉に長けているミャンマー人も各業界で活躍している。外国語の能力に関しては二極化している感じだ。選挙期間中の安全対策として、地方山岳地帯や国境付近、とりわけ少数武装勢力の活動地域へ実踏が制限された。これによって調査対象地やルートの変更等を行う必要が生じた。なお、選挙の時期以外にも、通常このような地域に外国人が立入るには、いわゆる通行許可証(Travel Permit)を数週間前から申請し携帯しなければならない。場合によっては、それに加えて現地政府関係者に付き添ってもらう必要がある。首都ネピドーや国内最大の都市ヤンゴンなどの都市部においては、選挙時期も調査活動が続けられたが、外国人がトラブルに巻き込まれる大きな事件はなかったようだ。確かに、選挙演説や政治集会は何度か見かけたものの、街全体としては普段と変わらない平穏な様子であった。その様子は英国BBCの記事でも取り上げられており、2015年末の「今年最も平和的かつ民主的に図2ミャンマー語の表記(子音一覧)写真1シュエダゴン・パゴダ寺院の煌びやかな仏塔選挙と政治2015年11月、アウンサンスーチー女史(現・国家顧問)率いる国民民主連盟が総選挙で勝利し、翌年より政権運営を行っている。私たちの現地調査は、この総選挙や政権移行時期とちょうど被っていたため、安全面での混乱が懸念されていた。写真2パゴダで祈る敬虔な人たち。中央にLEDライトが設置されている。歴史ある宗教的建造物でも、できる限り新しいものにアップデートするといった考え方があるCivil Engineering Consultant VOL.275 April 2017045