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写真6世界三大仏教遺跡の一つ「バガン遺跡」写真7ネピドーにある国会議事堂の入口「国際化していながらアジア色が濃厚」なのがミャンマー食文化の特徴ではないだろうか。電力・給水事情ミャンマーの電化率は都市部で約8割、農村部で約3割と未だ低水準にあり、電化地域においても停電が頻繁に発生する。このような状況と近年急増する電力需要を背景に、政府も電力供給を優先度・緊急性の高い政策課題として位置付けている。2030年までに国内全世帯の電化を目指す「全国電化計画(NEP)」が掲げられ、太陽光や小水力など再生可能エネルギーも含めた幅広い分野における技術協力が始動している。給水状況もまだ発展途上である。安全な水へのアクセス率は7割。多くの農村では水道が整備されておらず、徒歩やオートバイで川へ水汲みに行くことが家事労働の日課となっている。ミャンマーの給水分野における課題としては都市と村落で給水を管轄する組織が異なり、前者が地方自治体に属する委員会で後者が中央省庁の地方出先機関であるため、全国的に統一された効率的な管理・運営体制が存在しないことや、高いスキルを持つ水道技術者の不足などが認識されている。道路鉄道が発達していないため、インド・タイ・中国といった巨大市場と陸続きで隣接しているミャンマーでは、道路整備の重要性が極めて高い。現在、幹線道路のみの舗装率でも約7割にとどまり、陸路でしかアクセスできない地方都市へ続く道路さえも未整備なところが多い。そして、未整備の道路は雨季に不通となる。今後の地方道路整備により、物流網の改善、延いては農業生産の拡大や観光業の発展などが期待されている。高まるニーズを受け国際機関や各国ドナー、特に東アジア各国が積極的な援助を始めており、「誰がどこの道路区間を援助するのか」といったドナー間調整も欠かせなくなっている。交通都市交通については、ヤンゴンとネピドーで様子が大きく異なる。ヤンゴンの交通の特徴といえば、凄まじい渋滞である。目的地までに要する時間の予想がつかないので、早めの行動を心がける必要がある。ヤンゴンを走る商用車は、日本で使われていたままの車ばかりで、「有限会社〇〇」と書かれたトラックや「〇〇中央交通」と書かれたバスがひしめき合っている。また、大渋滞の中を徒歩ですり抜けながら、女性や子どもが水・地図・お土産などを販売しており、沿道にはランダムに並んだ屋台と悠長に歩く野良犬がいる。対照的に、2006年にヤンゴンから遷都して新首都となったネピドーには渋滞がない。移動には快適だが、広すぎる道路幅と少ない交通量のアンマッチ具合が不思議な光景を作り出している。ちなみに、国会議事堂の前はなんと片側10車線もある。これは、有事の際に飛行機が離着陸できるようにとの軍事的な意図のもとに建設されたものらしい。山を切り開いて建設した「人工首都ネピドー」の象徴である。今後は「アジア最後のフロンティア」として称され、その経済ポテンシャルが注目されるミャンマー。しかし、観光資源・文化・人々など、経済指標とは別の視点から垣間見える姿に、今なお好奇心を駆り立てられている。ミャンマーの持続的な経済成長や社会的発展を願うと同時に、現地を実際に訪れ、そのダイナミズムを肌で感じる日本人が今後増加すればいいと思っている。<図・写真提供>図1ミャンマー情報管理ユニット(MIMU)図2 OmniglotCivil Engineering Consultant VOL.275 April 2017047