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益川敏英MASUKAWA Toshihideプロフィール1 9 4 0年、名古屋生まれ。高校時代に当時世界的な物理学者だった坂田昌一博士に憧れ、名古屋大学に進学。1 9 6 7年、同大学院博士課程を修了し理学博士号を取得。1970年、京都大学に移り、その後理学部教授や基礎物理学研究所長などを歴任。1973年に当時同じ京都大学の助手であった小林誠博士とともに発表した「小林・益川理論」は、物質の存在の謎を解く画期的な理論として、世界の注目を集めた。近年、大型加速器を使った観測によりその正しさが次々に実証され、2008年にノーベル物理学賞を受賞。現在は名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長、京都産業大学益川塾頭として活躍。東洋文庫ミュージアムの「モリソン書庫」(写真:塚本敏行)大学院生を受け入れていました。そうすると本が蒸発していきます。昔の風流人は「『花が美しいから』と言って手折っても咎められない」と言っています。それと同じで、僕は「本を読むつもりなら持っていっても構わない」と思っています。そのためじゃんじゃん本が蒸発します。戦前の本はほとんど蒸発しました。必要になったらまた買えばいい。本はどんどん増えますが、どんどん消えてもいきます。今は琵琶湖の西岸に建てたログハウスで、週末の3日間は読書三昧です。薪ストーブの前に座り、クラシック音楽を聴きながら本を読みます。ログハウスは雑木林の中にあるので、少々音が大きくても近所迷惑になりません。本棚の整理はしません。「正確にはどう書いてあったかな」と気になることがあるので、本はずっと本棚に置いておきます。しかし時々女房が勝手に持ち出し、自分の好きな本に換えてしまうことがあります。僕は乱読なので読む速度は速いです。いわゆる「斜め読み」とも違います。読む時は行の上8文字ぐらいを頭に入れ、次の行を見た時にそれとギャップがなければ下を読みません。ギャップがあれば少し戻って下を見ます。漫画は子どもの時に読みました。確かに『鉄腕アトム』は面白かった。大学院生の頃、本屋で見つけた手塚治虫の『リボンの騎士』を買って置いておくと、皆が見に来ました。益川文庫は好評でした。岐阜市立図書館を含む複合施設「みんなの森-ぎふメディアコスモス」では市長さんにうまく乗せられて、いつの間にか名誉館長になっていましたね。図書館は何処もいろいろと工夫していますが、来るのは大体中学生までで、やはり大学生とかに来てもらいたい。それこそ本の修繕の仕方などを体験してもらうといいのかもしれません。古本屋巡りには意味がありました。置いてあるものを読むのではなく、自分でどういう本があるかを探し出して、それを読む。そういう積極性が大事なのです。それをどう図書館でできるのかは分かりませんが、そういうことがあってもいいのではないかと思います。Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017005