ブックタイトルConsultant275
- ページ
- 9/82
このページは Consultant275 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは Consultant275 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
Consultant275
特集12008進化する図書館年図書館法改正の内容と意義糸賀雅児ITOGA Masaru慶應義塾大学/文学部/教授教育関連法改正を契機に、社会教育関連三法の一つである図書館法も2008年に改正された。図書館法に新たな条文が書き加えられたのは同法制定以来はじめてのことであり、大幅な法改正であった。その改正に至った経緯や改正の内容とその意義について紹介する。図書館法の改正教育基本法改正(2006年)を契機に一連の教育関連法制の改正がなされ、図書館法も社会教育関連三法の一つとして第169回国会(2008年6月)で政府原案通り可決成立した。他の二つは、社会教育法と博物館法であるが、これらと憲法、教育基本法とを含めた法体系は図1のようになっている。図書館法は、1950年の同法制定以来20回近い改正が行われてきたが、今回の改正は1999年の地方分権一括法に伴う改正に匹敵する実質的かつ大幅な改正である。特に、表1に示すように、新たな条文が書き加えられることはこれまでなかったことであり、その意味では画期的な法改正と言ってよい。教育基本法の改正を踏まえた規定の整備今回大きく二つの改正がなされたが、一つは図書館法第3条図書館奉仕の条項に新たに、社会教育における学習成果の活用を促す機会の提供とその奨励が付け加えられたことである。これは、同時に改正された社会教育法第5条の教育委員会の事務規定への新規導入と同じ考え方であるし、さらに言えば、改正博物館法第3条博物館の事業にも、図書館法第3条と寸分違わぬ条文が今回の改正で付け加えられている。これらの改正条項はいずれも、直前に出された中央教育審議会生涯学習分科会の答申『新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について~知の循環型社会の構築を目指して~』(2008年2月)全体を貫く「知の循環型社会の構築」という考え方を反映したものであり、各個人が自らのニーズに基づき学習した成果を社会に還元し、社会全体の持続的な教育力の向上に貢献する構図を描いたものである。もう一つは、家庭教育の向上に資する事項が新たに図書館法第3条と同第15条に付け加えられたことである。第3条図書館奉仕において“家庭教育の向上に資今回の法改正の範囲憲法教育基本法社会教育法図書館法公立図書館博物館法私立図書館図1社会教育関連の法体系Civil Engineering Consultant VOL.275 April 2017007