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特集広島?ヒロシマから広島、そしてHIROSHIMAへ?2日本一のヒロシマ路面電車井手ヶ原誠IDEGAHARA Makoto広島観光開発株式会社(宮島ロープウエー)/代表取締役社長前広島電鉄株式会社/電車事業本部/電車技術部長利用者数や保有車両数ともに日本一の規模を誇っている広島の路面電車は、戦後復興においても大きな役割を果たした。戦後から現在に至るまで、なぜ路面電車がここまで発達し市民に親しまれ続けているのか。その理由を紐解くとともに更なる発展性に迫る。「ヒロシマ」に路面電車が走り始めたさんし広島の都市としての歴史は、「三矢の教え」で著名な毛利元就の孫である輝元によって、太田川河口の三角州に広島城を築城したことに始まっている。そして広島電鉄株式会社は、明治43(1910)年6月18日に大林組創業者である大林芳五郎によって「広島電気軌道株式会社」として設立されたことに始まる。その後、併用軌道として国の特許を得て用地買収に着手し、一部が埋め立てられた広島城の外濠や運河の一部の土地の払い下げを受けて軌道を敷設し、大正元(1912)年11月23日に広島市で初めての電車が走り始めたのである(写真1)。現在の路線は戦時中にほぼ路線網が完成し、広島市内を運行する市内線(軌道区間)19.0kmと、広電西広島から広電宮島口間の宮島線(鉄道区間)16.1kmを合わせた計35.1kmを営業している。市内線が走る広島市の中心部は6本の川が流れ、周囲を山と海に囲まれたデルタ地帯で、直径5kmの円内にすっぽり入るコンパクトな都心のエリアを運行している(図1)。全線複線で運行は8系統あり、沿線には世界文化遺産に指定されている広島平和記念公園の原爆ドームや、厳島神社がある安芸の宮島の対岸となる宮島口がある(写真2)。現在保有する車両数は、鉄道と軌道を合わせて連接車両60編成・単車74両の計297両である。市内電車の利用者数は2015年度の実績は3,892万人、1日平均では10万6千人が利用し、保有車両数と利用者数は路面電車として国内最多を誇っている。二度の路面電車の存続危機路面電車の最初の存続危機は原子爆弾の投下であ写真1外濠を埋め立てた紙屋町付近を走る電車。開業時5 0両導入された100A形の車両図1都心エリアをほぼ網羅している路線010Civil Engineering Consultant VOL.276 July 2017