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写真5軌道敷内通行不可規制写真6グリーンムーバーレックス「新交通システムを見たいなら、この広島電鉄の鉄道と軌道の直通乗り入れを見なさい」と言われた。軌道敷内通行不可軌道敷内への諸車乗り入れによる利用者数の激減対策として、広島県公安委員会は自動車の軌道敷内乗り入れ禁止(一部タクシーのみ通行可)の行政措置を昭和46(1971)年12月1日から再開した。これは当時の広島県警が自動車と路面電車が共存する西ドイツを視察した際に、交通渋滞緩和と自動車の排気ガスによる公害を解消するには、マイカーの規制と路面電車の優先通行が必要だと認識したからであった。これにより路面電車の運行がスムーズになって定時性が保たれ、以降も市内全面駐車禁止、電車優先信号の設置、右折車の軌道敷内停車禁止など政策的な支援が講じられてきた(写真5)。LRT化などへの取組み本格的な高齢社会を迎えようとしている現在、地球環境に優しく、高齢者と車椅子を利用する移動制約者にも優しい公共交通機関として、まちづくりや活性化の観点からも路面電車に多くの期待が寄せられている。このような現況のもと、LRT(ライトレールトランジット)化への実現を目指して、超低床車両(LRV)の導入、他交通モードとの結節改善による乗継利便性の向上、ICカード乗車券システムの導入、電車優先信号の導入による速達性の向上、ロケーションの高度化、高規格の電停整備などのサービスの向上、安全性の確保などに取り組んでいる。超低床車両広島電鉄には京都市や大阪市、福岡市など、路面電車を廃止した都市で使用されていた車両のほか、大正元年の開業当時の電車を再現した「大正形電車」や、広島市と姉妹都市提携を結んでいるドイツのハノーバー市から譲り受けた「ハノーバー電車」など、多種多様な車両が在籍している。愛好家などからは「動く電車の博物館」と呼ばれ親しまれているが、これらは、車両床面がホームから35~40cm程度高くステップがあるため、移動制約者には気軽に利用しにくい構造となっている。古い車両にノスタルジアを感じるだけでなく、利用者優先という考えのもと、新しいものへと転換を図るため、平成11年6月以降ドイツ・シーメンス社製の超低床車両グリーンムーバーを12編成導入した。乗降のしやすさから高齢者を中心に好評を得ることができたが、座席数が在来型に比べ少ないことや、海外製のため部品の調達がスムーズにできないなどの課題があった。平成13年から国土交通省の支援で、複数の鉄道車両関連メーカーによる台車の開発が始まり、平成17年3月に国産初の超低床車両5100形グリーンムーバーマックスが完成した。グリーンムーバーに比べ10座席増やし車内通路幅も5~29cm広くするなど、より利用しやすいように改善を図り、現在10編成が運行している。しかし、グリーンムーバーマックスの長さが30mあり、路線によっては乗り入れできなかったため、新たに長さ18.6mのグリーンムーバーレックスを開発した。平成28年度までに12両導入し、これによりすべての路線に超低床車両を提供することができた(写真6)。012Civil Engineering Consultant VOL.276 July 2017