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特集広島?ヒロシマから広島、そしてHIROSHIMAへ?4おいしい広島?広島の食文化?平山友美HIRAYAMA Tomomi株式会社平山友美フードトータルプランニング代表取締役広島名物といえば全国的にお好み焼きや牡蠣等が有名である。それだけではなく、気候及び地理的な自然条件を背景とした地元ならではの知られざる名物の宝庫でもある。山と海に囲まれた広島の隠れた食の名物について紹介する。旅に出たら、その地の名物を食べることは楽しみの一つでしょう。さて、どんな店を選びますか。誰もが知ってる著名な店、それとも地元の人しか知らない小さな店でしょうか。特に後者が好みだという方は、きっと広島を好きになるに違いありません。小さな名物の集合体広島の食文化をひと言で表現すると「小さな名物の集合体」です。県内でも限られた地域でしか食べる文化がないため、広島県民でもお互いに知らないものがたくさんあります。広島といえばお好み焼き、というイメージかもしれませんが、それは薄い生地に焼きそば麺、たっぷりのキャベツを重ねて焼くタイプ。戦後の広島市の屋台に端を発する鉄板焼きです。県東部の府中という町では豚ひき肉を使う「府中焼き」、尾道市辺りには砂ずりを入れる「尾道焼き」があります。近年になって開発された庄原市のみよし「庄原焼き」や三次市の「三次唐麺焼」などもあります。お好み焼きとひとくくりにされていますが、実は県内各地の鉄板焼きの集合体なのです。素材でいうと、牡蠣やレモンが有名です。これも「広島の牡蠣」とまとめられていますが、江田島、地御前おんど音戸、倉橋島、安芸津などと、産地は多数あります。レじごぜん、モンも尾道市の瀬戸田、呉市の大崎下島、大崎上島、下蒲刈島などが産地です。一見、同じレモンに見えてもそれぞれの土地に合った品種が選ばれているのです。食文化に影響を与える要素は、その土地の地理的条件や気候といった自然環境がもっとも大きく、次に江戸時代後期に藩主などの権力を持っていた人物の影響が考えられます。広島の自然環境は「日本の縮図」と表現されます。県北には北海道や青森県と平均気温が同じという西日本一の豪雪地帯がある一方、島しょ部には九州の熊本市の気温に匹敵する温暖な地域があり、農作物もリンゴからミカンまで多彩です。北境には標高1,000mを超す山々が連なる中国山脈があり、この山に源を発する河川は、内陸の山地をめぐって日本海と瀬戸内海の両方向にそそぎます。山間部と島しょ部では、気候はかなり違いますが、急傾斜が多いことは共通しています。これは効率的な農業を営むには非常に不利な環境にあることを意味しています。中山間地域が耕地面積の90%近くを占めています。こうした地理的条件から、いずれの食材も小規模な産地になっています。これが小さな名物の集合体と表現したゆえんです。こ小いわし一般的にはカタクチイワシと呼ばれます。広島湾一帯の船引き網漁の解禁が6月10日。このころ話題になるので夏が旬と言われていますが、この小いわしを売る行商のおばちゃんは「冬の寒い時季がおいしいんよ」と教えてくれました。今、行商のおばちゃんの姿を見ることはありません。流通事情が変わり、便利なスーパーマーケットができて行商人から魚を買う人もいなくなってしまったからです。30年前の広島市内には「イワシ車」と呼ばれるリヤカーで小いわしを専門に売り歩く行商人が100人はいたと018Civil Engineering Consultant VOL.276 July 2017