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特集広島?ヒロシマから広島、そしてHIROSHIMAへ?6広島県のインバウンド観光富川久美子TOMIKAWA Kumiko広島修道大学教授一般的にインバウンドと呼ばれる日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しており、広島におけるその数も毎年過去最高を更新している。原爆ドームと厳島神社という2つの世界遺産を有する広島の外国人観光客の実態を紐解くとともに、観光都市としての政策について考える。日本のインバウンドと広島の人気近年、インバウンドという言葉をよく耳にするようになった。これは旅行業界の用語であり、一般的に使われるようになったことは驚きである。その一方でアウトバウンドという用語は一般には使われず、それほど訪日旅行が注目されるようになったと言える。訪日旅行者数は長らく低迷していたことから、国土交通省は2003年、当時の521万人を2010年までに倍増させるとしたビジット・ジャパン・キャンペーンを開始した。その目標は達成されず、ようやく2013年に1,000万人を超えたが、僅か3年後の2016年には2,400万人となった(図1)。このような政策や訪日外国人の急増によって外国人観光客への関心が高まり、彼らの訪日目的や人気の観光地などがマスメディアで多く取り上げられるようになった。旅行情報サイト『トリップアドバイザー』の「外国人に人気の日本観(千人)25,000光スポット」によると、2015年度の1位は伏見稲荷大社、2位は広島平和20,000記念資料館、3位は厳島神社であ15,000り、これは過去3年間変わっていな10,000い。それ以前は、広島平和記念資料館が1位、厳島神社も上位4位内が5,000数年間続いていた。ヒロシマとミヤ0ジマが外国人にとって根強い人気を誇っていることが分かる。実際、新幹線で広島駅に降り立つと、非常に外国人が多い印象を受ける。しかし、広島県のインバウンドは全国の傾向とは異なる特徴をもつ。ところで、ここに挙げた外国人旅行者であるが、これを観光客と捉える方が多いのではないだろうか。実は、前述の旅行者統計には観光目的以外の商用や一時上陸目的も含まれている。訪日旅行者数を観光目的に絞ってみると、2016年は1,974万人であり、2,000万人に届いていない。しかし、訪日旅行者全体に観光目的客が占める割合は、1990年代から2000年代初めまで5割台に留まっていた。これに比べれば8割台になった現在は、旅行者=観光者として捉えても許容範囲とも言えよう。同じ観光統計を基にしながら「旅行者数」を「観光客数」と表記している自治体も多い。2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016アジア州その他の地域図1 訪日外国人数とアジア州からの旅行者数の推移(2003?2016年)【日本政府観光局(JNTO)の資料より作成】026Civil Engineering Consultant VOL.276 July 2017