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Consultant276
広島県のインバウンドの実態2015年の広島県の外国人観光客数は166万1,000人であった。これは前年比59%の増加であり、4年連続で過去最高を更新した。特に中国から17万人と、前年比118%の増加であったが、これには数千人単位の大型クルーズ船の寄港が寄与している。しかし、全国的に見ると、広島県の外国人観光客数は上位に位置してはいない(図2)。東京都(訪問率52%)、千葉県(同44%)、大阪府(同36%)の訪問率が高いのは、主要な国際空港の立地などアクセスの面からも必然性があり、次に京都府(同24%)が続くのも日本を代表する観光資源が豊富なことから納得がいく。しかし、広島県(同3%)は外国人に高い人気を誇る2つの観光資源が存在する割には訪問者が少ないと言える。また、訪日外国人の延べ宿泊者数(2015年)の統計でも、東京が6,560万泊(全体を100%とした場合27%)と全国で最も多く、続いて大阪府が897万泊(同14%)、北海道が564万泊(同8.6%)、京都府が458万泊(同7%)、沖縄県が368万泊(同5.6%)となるが、広島県は74万泊であり、全体の構成比では1.1%を占めるに過ぎない。因みに、このような都道府県別の順位において、延べ泊数と訪問者数との違いが顕著であるのは、北海道と沖縄県だけではない。意外に思われるだろうが、奈良県は広島県よりも少ない26万泊であり、全国で25位になる。前年の2014年までは、日本人を含めた延べ宿泊者数でも奈良県は最下位になる年が続いていた。通常、観光統計というと入込客数が注目されるが、経済効果などの観光効果を考慮すると、延べ宿泊数を重視すべきである。外国人の出身地図1にみた訪日旅行者数の急増であるが、特にアジアからの旅行者によるところが大きいことが分かる。2016年は訪日外国人2,400万人中アジアからが85%を占めた。そのうち最も多かったのは、中国からであり、続いて韓国、台湾、香港の順であった。それぞれ637万人、509万人、417万人、184万人と、上位4カ国と地域で全体の77%を占めた。その一方で北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアからの旅行者が占める割合は、それぞれ7%、6%、2%でしかない。このようなアジアからの旅行者が全体の8割を占める全国のインバウンドに対して、広島県では、アジアからの旅行者が3割程度でしかなく、欧米系が過半数を占める(図3)。また、図4の居住地別外国人延べ宿泊者数を都道府県別に見ると、広島県で最も多いのはアメリカ(15%)であり、欧州(13%)、オーストラリア(10%)と、他の都道府県との違いが一目瞭然となる。アジアからの旅行者に比較して欧米からの旅行者は平均滞在日数が長いため、これが反映された結果になっている。広島駅構内を一見して多くの外国人がいると感じられるのは、アメリカ人やオーストラリア人などが目立つためでもある。ダークツーリズム欧米系の旅行者が多くを占める広島県のインバウンドであるが、これは、世界中に広く認知されている被爆地としてのヒロシマ訪問を望む外国人が多い一方で、敬遠する外国人も多いことが地域的な傾向として表れていると言える。2015年、被爆地ヒロシマ(広島市)を訪れた外国人(103万人)では、地域別にみると欧米系が全体の6割超、中でもヨーロッパが最も多く、全体の3(千人)東京都千葉県大阪府京都府神奈川県愛知県福岡県北海道兵庫県山梨県沖縄県静岡県奈良県大分県長野県広島県熊本県長崎県0アジア州ヨーロッパ州アメリカ州大洋州その他10,0009%11%33%7,5005,00018%2,50029%図2上位18の都道府県別外国人訪問者数(2015年)【RESASにて作成】図3 広島県への地域別外国人訪問者の割合(2015年)【広島県観光客数の動向より作成】Civil Engineering Consultant VOL.276 July 2017027