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Consultant276
アプローチ部分から建設を始めた。ハーバーブリッジは503mの鋼アーチ主径間部(中路式ブレースドリブアーチ)とそれに繋がる両側のアプローチ橋から構成され、全長は1,149mである。デッキは海面から52m、アーチの頂点は海面から134mの高さに設計された。アプローチ部分は小塔の上に橋桁を掛けながら建設されたが、一部既存道路と交差する箇所では、コンクリートアーチが用いられている。交差箇所の一つにアーガイルカットと呼ばれる箇所がある。1843~1867年に人力で岩盤をくり貫いた深さ約10mの掘割りは、現在に至るまで特に支えもなく自立しており、堅牢な岩盤があったからこその構造である。■鋼アーチ建設の工夫アプローチが終わるとアーチ本体写真2建設中のアプローチ部写真4 可動式メンテナンス設備と鋼材を組み合せた形状の部材写真3 建設中のアーチをケーブルで引っ張り、アーチ上をクローラークレーンが走る写真5 石炭が満載された機関車が並ぶ耐荷力テストと大塔(パイロン)の建設が始まった。まず北岸のラベンダー湾に、荷揚場と資材加工のための工場が建設された。荷揚場にはイギリスから船で輸入した鋼材が陸揚げされ、工ある。U字形になったケーブルが、岩盤トンネルに引っかけられて支える仕組みであった。アーチは1930年8月までの約2年間、シドニーの岩盤によって支えられていたのである。場では切断やリベット穴の加工等が行われ、橋のパーツが造られていった。高価であった鋼材量を節約するため、部材の多くは細い鋼材を組み合せた形状となっている。パイロンの建設に用いられた花崗岩は、海岸沿いを南西に約300km離れたモルヤで切り出され、鋼材と同様に艀で運搬した。パイロンの基礎はアーガイルカットと同様、岩盤を約10m掘削した上に設置された。脚柱部分はその上にコンクリートと花崗岩を積み上げて築造していたが、47mの高さで一旦中断し、そこにアーチを組み上げる巨大なクレーンを設置した。アーチ構造は円弧が繋がって初めて安定するものであ■橋の完成とテストアーチを支える巨大なヒンジ支承がパイロンの足もとに設置され、キングポストと呼ばれる支柱が組み込まれた。建設にはパイロンに設置した巨大クレーンのほか、アーチ部材上を移動できる小型のクローラークレーンが活躍していた。アーチの部材は、北岸の工場から艀で運ばれクローラークレーンで吊り上げられ、多くの労働者によりリベット接合されアーチの一部となる。繋がれた部材の上をクローラークレーンる。北岸と南岸からそれぞれ建設が始められたハーバーブリッジでは、円弧が完成するまでは別の方法で安定させなければならなかった。その方法は、まずパイロン背面の岩盤に橋と直角方向にトンネルを掘る。そしてアーチの上弦部材にケーブルを結び、そのケーブルをトンネルに通して反対側の上弦部材に繋いだ後に緊張する。つまり建設中の両アーチ部材に繋いだケーブルが、岩盤トンネルの中を通る形で写真6アーガイルカットにかかる南岸アプローチ部写真7南岸のヒンジ支承とパイロン042Civil Engineering Consultant VOL.276 July 2017