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写真2(左)2008年第2回東京マラソンで、初めてのフルマラソン伴走に挑む筆者。楽しく、あっという間の4 2 .195kmだった写真3(右)2012年第21回東京ベイ浦安シティマラソンで、ハーフマラソン伴走中の筆者写真4伴走の基本は二人三脚私がパラスポーツに興味をもったのは、視覚に障害があるランナーをガイドしながら走る、「伴走」という活動に出会ったことがきっかけだ。ある日、体験会に参加して、全盲のランナーとベテラン伴走者から手ほどきを受け、数時間後にはなんとか伴走することができた。別れ際にランナーから、「ありがとう。伴走者がいないと私は走れない。また一緒に走ってくださいね」と言われ、「好きなスポーツで、誰かの役に立てるなら」とやりがいを感じた私はすぐに、ある伴走クラブに入会した。それまでの私に、障害のある人との接点はほとんどなかった。今改めて振り返ってみると、伴走はたくさんの貴重なことを私に教えてくれた。伴走者の役割視覚障害者の伴走者の一番の役割は、ランナーの「目」となることだ。人間は外界から得る情報の約8割を視覚から得ていると言われる。だから、伴走者の責任は重い。まずは安全第一で、走るべき方向を言葉で伝えながら、障害物を避け、転倒や衝突しないよう注意を払う。視覚障害といっても、見え方は各々さまざまで、特に全盲者やかなり重度の弱視者と走るときは、ロープを握り合って走る。このロープは、「絆(きずな)」と呼ばれることもある。ランナーと伴走者をつなぐ、大切なものだからだ。ロープは拳同士が触れ合うくらい短く握る人から、少したるませる人までお好みしだい。混雑している道や悪路などでは短いほうが安全で、状況に応じて肘などをつかむこともある。基本の走り方は二人三脚の要領で手と足の動きを合写真5アイマスクと伴走ロープ(一例)わせる。伴走者はロープを持つ手を少しだけ自分の外側、つまりランナーの胸の前に向けて振ると、引っ張り合いを避けられる。ランナーにとっての理想のフォームは伴走者には少し不自然になるが、そうして動きを、気持ちを合わせることが伴走には欠かせない。見えない相手には言葉で情報を伝える「声かけ」が重要だ。何に注意し、ランナーに何を伝えるべきかを知るために、新人伴走者はアイマスク着用で見えない状態となり、「伴走される体験」から始めるのが一般的だ。私もそうだったが、アイマスクランはとても怖く、一歩踏み出すのに勇気がいる。「見えない恐怖」を体験し、視覚障害ランナーの気持ちを共有することで、安心して走ってもらえる声かけのヒントになる。声かけは具体的なほうがいい。「段差があります」でなく「10cmの上り段差」や、「右に曲がります」より「10mCivil Engineering Consultant VOL.277 October 2017015