ブックタイトルConsultant277

ページ
22/60

このページは Consultant277 の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

Consultant277

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

Consultant277

写真6国際雪合戦連合発足式写真7海外で最も伝統のあるフィンランドチームあらゆる人脈を駆使し、多くの失敗を乗り越え、世界中を探してもどこにもないスポーツ雪合戦用具を開発していった。その後、ヘルメットは国内外への普及に伴う用具の量産に対応し、強度と安全性を高めるための専門的研究や実験のため、大手スポーツメーカーの協力を得てスポーツ用具として商品化した。雪球製造器も軽量化、機能性のアップを図っている。そして、この競技の最大の課題は安全性の追求であった。雪球を相手プレイヤーに当てる競技特性のため雪の性質を充分熟知していなくてはならず、安全性の確保には、雪球が固くなりすぎないようにする工夫が求められていた。寒風にさらされ、氷となった雪球は、まさに「凶器」である。そこで、北海道大学低温科学研究所の協力を得て研究を進めた。現地調査では、雪球製作後はすぐ気密性の高い器にいれ外気に触れさせないことなどのアドバイスを受けた。また国立札幌病院に雪合戦顧問ドクターを委嘱し、ケガの状況を分析し医師の立場から今後の用具開発への意見をもらった。これらのアドバイスを取り入れ、現在はビニールハウス内に雪を入れ、ジェットヒーターで雪を温めてから雪球を作る製法や、雪球を入れるケースを製作し、競技開始までの間、雪球が外気に触れないようにすることで雪球の凍結を防止するなどして、大会を運営している。世界に広がる雪合戦1989年の第1回大会には町民の予想をはるかにこえた100チーム以上の申し込みがあり、そこから選ばれた70チームが参加した。以降、申し込みは年々増加し、1994年からは大会出場チームを絞るため、予選会を導入した。また、全国各地で雪合戦大会が開催されるようになり、北海道内各地はもとより南は大分県まで、町民スタッフが講師として派遣され、現在道内外の24カ所で地区予選が開催されている。海外普及の第一歩はフィンランドであった。壮瞥町では1993年からフィンランドの北部、北極圏内にあるケミヤルヴィ市と友好都市提携を結んでいた。交流事業の一環として、1995年海外で初めてとなる雪合戦大会を開催した。本町からはルールの普及や大会運営の伝授を含め、少ない予算ながら5名のスタッフを派遣し、無事に開催することができた。その後も町民スタッフを派遣しながら普及拡大に挑み、1997年からノルウェー、2006年からロシア、2007年からオーストラリア、2008年からオランダ、2009年からスウェーデン、2011年からカナダとアメリカ、2012年からベルギーと世界各地で大会が開催されるようになった。そしてこれからも各国が互いに理解し合い、力を合わせて雪合戦の友好の輪を世界へ広げていくため、雪合戦の国際的な普及組織を設立することとなり、2013年2月22日、海外各国の雪合戦連盟の役員を迎え、正式に国際雪合戦連合が発足した。2016年には中国が正式加盟し、日本を含め12カ国が加盟するまでに至った。世界各地で共通のルールと用具による大会が開催され、海外の大会においても柔道のように“Yukigassen”という名称をつけるよう義務づけ、日本発祥であることの精神を貫いている。このように海外でも普及が進んだ理由の一つは、雪合戦が道具を用いずに雪玉を投げて相手にぶつけるという単純さ、かつ人間の本能に近い競技であることである。初めて参加する人でも難しいことは考えずに「投げて、ぶつける」という単純な動作の繰り返しで、当たればうれしいが、当てられればくやしい。体の奥から熱く燃020Civil Engineering Consultant VOL.277 October 2017